憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【04.10.14】郵政民営化「改革の本丸」というが、“百害あって一利なし”だ名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年10月14日
臨時国会が始まり、小泉首相の「所信表明」がおこなわれました。しかし、情熱も迫力も感じられず、国民に痛みを押しつけることだけは明らかな演説でした。
「政治とカネ」をめぐっては、「政治家1人ひとりが肝に銘じ、常に襟を正さなければなりません」と、人ごとのように言うだけ。これでは、政治資金をめぐる不祥事を根絶することは、とうていできないでしょう。
そんななかで、すこしだけ力が入ったのは「郵政事業の民営化」でした。小泉総理は「改革の本丸」と力んでいますが、国民のほとんどは批判的です。新聞の世論調査でも、政府の最優先施策として郵政民営化を望んでいる国民は、わずか2%しかいません。
じっさい、この「所信表明」には、自民党席からはしらけたムードがただよい、ほとんど拍手がありませんでした。ときどき、公明党からパラパラとおつきあい程度に拍手があるくらいでした。近来になく盛り上がりに欠けた「所信表明」演説でした。
先日、私たちは、閣議決定された「郵政民営化の基本方針について」郵政民営化準備室などからレクチャーを受けました。
しかし、何のための民営化なのか。現在の郵政公社のどこに問題があるから変えようというのか。民営化しなければ解決しないのか。――この素朴な疑問にさえ、まともに答えられないのですから驚きました。「私たちは決まったことを実行するだけです」「細かなことはこれから詰めますので、細部につては答えられません」というのです。
そうなるのは、「はじめに民営化ありき」だからではないでしょうか。これでは、国民が納得できるはずがありません。
いま、国民が望んでいるのは「民営化」ではありません。国内のどこにいても、あまねく平等なサービスが、これからもきちんと受けられることです。また、郵便貯金についても、政府保証によって「安心」できる状況を変えないでほしいことです。
ところが政府の案は、「窓口サービス」「郵便」「郵便貯金」「簡易保険」の4つの会社に分けて、それぞれ「市場原理のもとで自立」すべきだというのです。
そうなると、競争に打ち勝つため、利益のあがらないところからは撤退することになるでしょう。そのことによって「安定・安心」も「一律サービス」も、根本的に揺らいでしまいます。
聞けば聞くほど、「百害あって一利なし」という実態がますます明らかです。だから北海道では、8割の市町村が「民営化反対」「郵政公社の存続」を決議しているのです。
いまやるべきことは、自民党の集票機構として動員されているゆがんだ実態を改めたり、サービスを向上させるなど、たくさんあるのです。
このさい、政府提案の「民営化」方針は撤回して、真に国民が望む方向で改革をすすめるべきではないでしょうか。