憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【04.05.20】年金改悪法案を撤回し、出直せ名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年5月20日
政府与党が提案した年金法案は、「百年安心」だと国民に言ってきました。しかし、その根拠が、まったくのごまかしだったことが明らかになりました。
これまでの政府の説明では、「保険料の引き上げに上限をもうけます」「給付水準は50%を保障します」というものでした。
保険料について言えば、いまの月額1万3300円の国民年金保険料は、来年4月から13年間連続して引き上げられ2017年度には1万6900円になると言ってきたのです。それでも負担が重くなるのですが、それではすまないのです。
国民年金の保険料は、賃金の名目上昇率に連動して上がり続けます。2017年度は月額2万860円、2027年度には2万5680円、2037年度には実に3万1610円の負担になるのです。
政府のこれまでの説明は、まったく事実に反するではありませんか。
坂口厚労相は「賃金上昇に伴い上昇することは当然」と居直っていますが、こんなことは衆議院ではひと言も説明していませんでした。こんな国民だましは、絶対に許せません。
では、給付水準はどうでしょう。
政府は、現役世代の平均収入の約59%を自動的に引き下げるが、「50%よりは下げないから安心してほしい」と説明してきました。
ところが、その「50%確保」というのが、年金受給が始まる65歳の一時点にすぎないことが明らかになりました。
改悪スタートの年となる2004年度で65歳の男性のケースでは、年金を受け取り始める時点で59.3%ですが、20年後の85歳では43.2%まで下がります。
いま55歳の人は、同様に54.0%から40.8%に。45歳の人は、50.2%から40.5%に下がってしまいます。これで、「50%確保」という根拠は完全に崩れ去りました。
小泉首相は、「高齢になるほど消費水準は低下する傾向もふまえれば、高齢者の生活の安定が大きく損なわれることはないと考えている」とのべました。年寄りは消費が減るので年金給付は少なくてもかまわない、といわんばかりの答弁です。国民の生存権の保障など眼中にない冷たい姿勢ではありませんか。
国民に説明してきたことが、真っ赤なウソだったということは、もはや誰の目にも明らかです。
それでもなお自民・公明両党が、あくまでもこの法案を強行しようとしていることに、多くの国民は反対の声をあげています。
こうなった以上、法案を撤回して出直すしかありません。