憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【04.04.22】いまこそ勇気をもって 自衛隊のイラク撤退を名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年4月22日
イラクで人質となっていた5人が解放され、ほんとうに無事でよかったと思います。
ご家族のみなさんの喜びもひとしおでしょう。解放のために努力された内外のみなさんに心から感謝します。
このなかで注目を引いたのは、事件の解決にあたって、イスラム教スンニ派の宗教指導者で組織する「イラク・イスラム聖職者協会」が大きな役割を果たしたことです。
宗教指導者は、人質事件を起こした武装勢力に対し、穏健な立場から「イスラムの教えに反する」と粘り強く説得を続けました。
フセイン政権が崩壊し米軍占領が続いているもとで、イラク国民のなかに深い信頼をつちかっていることは、自立的な将来の国づくりをすすめるうえで大きな柱になるものとして重視する必要があると思います。
イラクで占領軍と民衆の対立が先鋭化しています。そのため、4月に入って90人近い米兵が死亡しています。まさに「ベトナム化」の様相です。
そのため、占領軍の一翼として参加している国々も撤退を表明しはじめています。
スペインのサパテロ首相は、1300人の部隊をできるだけ早期に撤退させるよう命じました。また、ホンジュラス、ニュージーランドも撤退を決めました。さらに、ポーランド、ウクライナ、ポルトガルが、米軍の無差別な掃討作戦を批判し、軍隊の撤退を検討し始めています。
イラク全土は、まさに戦闘状態です。
日本国際ボランティアセンター(JVC)も、バグダッドの日本人スタッフをヨルダンに一時退避させる方針を決めました。
いまでは、民間団体による人道援助さえできない状態になっています。報道機関も相次いで退避しています。
米軍によるファルージャでの無差別殺りく行為がイラク国民の怒りをひろげ、危険な事態をつくったことが根本的な原因です。
それでも日本政府は、自衛隊は「イラク人のために活動している」から「撤退する理由がない」(福田康夫官房長官)と言い張っています。
しかし、民間人に「撤退勧告」を出したことから明らかなように、政府自身が「イラクは危険だ」と認定しているのです。
その危険なイラクで、自衛隊がこのまま米占領軍への協力者として駐留しつづけたらどうなるか。いまこそ、よく考えなければなりません。
イラク特措法では、自衛隊の活動は「非戦闘地域」に限定され、かつ安全に配慮するとしています。
イラクの情勢悪化で、派兵をつづける根拠は崩れています。
自衛隊がイラク国民に銃口を向けたり、命の危険にさらされるような事態をまねいてはなりません。
――そうなる前に、自衛隊を撤退させるべきではないでしょうか。