憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【04.01.29】憲法の平和原則を踏みにじる防衛庁長官発言名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年1月29日
石破茂防衛庁長官は、「武器輸出3原則」の抜本的な見直しを進めるべきだとの認識を示しました。
これは、きわめて重大です。軍拡路線を、どこまでもつきすすもうというのでしょう。
しかし、武器輸出禁止3原則とは、これまでの政府の基本方針です。1967年に、当時の佐藤首相がはじめて国会で表明したのは、(1)共産圏諸国、(2)国連決議で武器輸出が禁止されている国、(3)紛争当事国とその恐れのある国――に対して武器輸出をしないというものでした。
1976年になって、三木内閣が「これ以外の地域への武器輸出も慎む」という政府統一見解を明らかにし、日本は、事実上の「武器輸出全面禁止」に踏み切ったのです。
これは、共同開発を含む外国への武器技術供与や武器を製造する海外企業への投資も禁じたものです。
しかし1983年に、中曽根内閣がアメリカに対してのみ「武器技術供与の取り決め」を認めてしまったため、いまではアメリカへの技術供与が可能になっています。
そのうえ小泉内閣は、昨年12月19日に「弾道ミサイル防衛システム」導入を閣議決定し、アメリカのブッシュ政権が開発・配備を進めている「ミサイル防衛」に、日本を組み込もうとしています。
敵対勢力のミサイル攻撃を心配せずに先制攻撃を行うことのできるシステム。これが「ミサイル防衛」です。憲法が禁じている「集団的自衛権」そのものです。
政府は、このミサイル防衛システムを進めるため、アメリカと共同で「開発・生産」しようとしているのです。そのため、アメリカに部品などの輸出を可能にしようと、「武器輸出3原則」の部分的な見直しを検討しようとしています。
ところが、石破防衛庁長官は「兵器の多国間共同開発で、コストを下げるのは常識。自衛隊が海外で活動する際、共通した武器、部品を使う相互運用性を確保すべき」として、「武器輸出3原則」を全面的に見直すべきだと述べたのです。
「コスト削減」を言うなら、2004年度から8年間で8000億円から1兆円も必要とする「ミサイル防衛システム」の導入そのものを中止すべきではありませんか。
「武器輸出3原則」は、憲法9条の理念である「戦争の放棄」「国際紛争の平和的解決」「武力行使・威嚇の禁止」を具体化したものです。この原則は、憲法とともに将来にわたって堅持すべきものです。
石破防衛庁長官の発言は、憲法の平和原則を真っ向から踏みにじるものであり、認められません。