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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 論文・対談

当面する経済情勢と経済政策の課題

『経済』2003年11月号

はじめに

編集部: 21世紀がはじまってまだ3年足らずですが、すでに9・11テロ事件、アメリカのアフガン戦争、イラク戦争と、世界は激しく動いています。日本では、小泉内閣が対米追随の政治、外交路線、経済政策を強行して、日本経済はなかなか長期停滞から抜け出る道筋が見えていません。
 こうした情勢のもとで、きたるべき総選挙では、この小泉内閣の政策が正面から問われるという意味で、たいへん注目されます。そこで、総選挙を前にして当面する経済情勢の特徴と経済政策の課題について、日本共産党政策委員長代理で衆議院議員の佐々木憲昭さんにお語をうかがいました。

一、小泉内閣の政治路線の特徴をどうみるか

 −−本誌では、ちょうど3年前の総選挙のまえに、佐々木さんに「総選挙と経済政策の焦点」というテーマでお話をうかがいました(本誌、2000年5月号)。その直後に、小渕内閣から森内閣へ、さらに01年4月からは小泉内閣へと続いてきました。佐々木さんは、この間に、いわゆる「ムネオ・ハウス」の徹底追及など、日本中をわかせた国会論戦などで活躍されてきましたが、小泉内閣の政策の全体的な特徴について、どのように感じておられますか?

佐々木: 小泉内閣が発足して2年半たちますが、全体として感ずるのは、自民党政治のおおもとを引き継ぎながら、これに小泉的パフォーマンスを加えて国民収奪の悪政を極端まで推し進めるという特徴をもっていたことです。
 ふり返りますと、小泉内閣が経済政策を直接引き継いだのは、2001年4月6日につくられた森内閣末期の「緊急経済対策」でした。これを基本政策として引き継ぎ、それを正面にかかげて小泉内閣が発足したのです。その経済政策の中心が「不良債権処理」という政策だったのです。そういう意味で、小泉内閣は自民党政治の本流を継承して誕生したのであり、国民に痛みをもたらす政策を小泉的手法によって無慈悲に押しつけるという特徴をもっていたと思います。
 もうひとつの特徴は、アメリカヘの追随です。有事法制やイラクヘの自衛隊派兵という軍事・外交面で、それは端的にあらわれていますが、経済政策の面でもそうです。
 たとえば、先ほどふれた不良債権処理政策は、森内閣末期の2001年3月におこなわれた日米首脳会談で、強引にアメリカから押しつけられたものでした。さらに、1年半後の2002年9月におこなわれたブッシュ・小泉の日米首脳会談では、それを踏まえて「不良債権処理の加速」をさらにアメリカから押しつけられた。そのため、その直後に柳沢大臣を更迭して金融担当大臣を竹中経済財政担当大臣に兼務させた。こうして、10月に「竹中プラン」を発表、それを忠実に実行していくという経過だった。そういうところにも、アメリカ言いなりの性格があらわれていると思います。
 さらにつけ加えると、小泉的「丸投げ」手法がある。ともかく、何か問題提起があったら自民党に丸投げしたり官僚に丸投げする。たとえば政治資金規制の問題でも、私たちが公共事業受注企業からの政治献金を禁止すべきではないかと追及すると、「そういう問題もふくめて検討したい」などと、対応するそぶりをみせるわけです。ところが実際には、自民党に「検討せよ」と丸投げする。その自民党はというと、もともとやる気はない。だからリーダーシップもなく、まともな対応策も出てこない。国会答弁では、すり替えとはぐらかしを続けている。これも、小泉流政治のもうひとつの特徴だと思います。
 国民から見ると、ますます閉塞感で先が見えない状況が生まれています。小泉首相は、就任時には、「構造改革」をやれば、2、3年でよくなるといっていたけれども、2年半待っても何にもよくならない。事態はいっそう深刻化し、痛みだけが押しつけられる。絶望的な事態が進行している。これが実態ではないかと思います。

二、日本経済と国民生活の特徴をどうみるか

 −−3年前にお話を聞いたときに、当時の小渕内閣は、総選挙を前にして、さかんに「景気は上向いてきた」と言っていました。いままた、総選挙を前にして小泉内閣は「景気は回復しそうだ」といい始めていますが、実際はどうか。最近の日本経済と国民生活の特徴をどう見ていますか?

佐々木: この十数年間、長期不況に陥ってから、しばしば「景気回復」が宣言されてきました。しかし、そのたびに期待はずれに終わってきた。その理由は、GDP(国内総生産)の6割近くを占めている個人消費を支援するという発想がまったくないからです。1997年の消費税増税など9兆円の国民負担増、そして、2001年からの不良債権早期処理や耐え難い国民負担増を見れば明らかです。家計に冷水を浴びせる政策が、景気回復の足かせとなってきたのです。
 じっさいに、経済界の方々と懇談してみますと、「株は上がっても、景気が上向いているという実感はありません」というのが大方の見方です。たしかに、株は少し上がった。しかしその水準は、小泉内閣発足時点とくらべても低いものです。上昇要因として外国人の買いが多かったとか、余った資金が株式市場へ流入して株価を押し上げたという話ばかりです。実体経済がまともに改善したからではありません。
 実体経済をみるばあい、いちばん大事なのは個人消費の動向がどうなっているか、また設備投資は上向いているのかという点が重要です。
 まず、家計消費が底を打ったと言われていますが、はたしてそうでしょうか。家計調査によると、この6年問で年収が70万円も減っています。しかも、今年から来年にかけて4兆円以上の負担増が押しつけられる。さらに将来不安、たとえば年金、医療、介護などへの不安感が大きくなっています。その一方で、全社のリストラで賃金がおさえられ、雇用不安で消費が伸びない。また、中小企業の不況型倒産が依然として大きい。
 これでは、どう考えても消費が回復していくという明確な要因は、今のところないわけです。GDPの6割近くを占める個人消費の見通しは、決して明るくない。
 もう一つの柱である設備投資はどうか。内閣府が8月5日に発表した6月の「法人企業動向調査」によると、企業の景況感は少し持ち直したが、設備投資は今年いっぱい減少が続く、回復感がうかがえないという内容でした。とくに中堅企業は大幅な減少が続く見通しとなった。ここに一つの傾向が出ていると思います。
 大企業の場合は、リストラ効果や株高で当面の利益をあげ、それを部分的に投資にまわす傾向は見られる。しかし、中堅企業以下とくに中小企業の場合は、下請け企業はもちろん、一般の製造業も小売・卸売の流通分野も軒並み売り上げが落ち込んでいます。設備投資にまわす資金的なゆとりがないというのが実態だと思います。これは愛知の信金で話を聞いても、まったく同じような答えでした。設備投資の面でも、一路回復の軌道に乗るという状況ではない。
 今後の景気を考える場合、やはりいちばん大事なこれら二つの柱が、しっかりした回復軌道に乗るような見通しが生まれないかぎり、なかなか楽観的な状況にはならないでしょう。多少、株が上向いたという程度で手放しで喜んでいるような、そういう甘い状況ではないと思います。
 では、どうすればよいのか。これはあとで政策問題のところでもふれますが、一言でいえば、これまでの小泉内閣の経済政策の路線を続けたのでは、新しい方向は見えてこない。今までの発想を根本的に変える経済政策の転換が求められていると思います。

三、小泉「構造改革」の特徴、本質をどうみるか

 −−ところで、小泉首相は、「構造改革」を一貫してかかげて、今度の選挙でも、引き続きそれを最大の公約にしていくようです。これまで、小泉「構造改革」にたいしては、いろいろな角度からの批判、検討をおこなってきましたが、総選挙をまえにして、あらためてその経済政策としての特徴、本質をどう見ていますか?

佐々木: 小泉「構造改革」に期待を託した国民は、たしかに2年前にはかなり多かったと思います。しかし2年半たって、実際の「構造改革」なるものの実態、その本質はなんであったかということが、次第に骨身にこたえてわかってきているのが現状ではないかと思います。
 2年前をふり返ってみると、ちょうど参議院選挙の年でした。「構造改革」というと、なにか改革をやってくれるのではないかという漠然とした期待感が国民のなかにありました。当時の山崎自民党幹事長は、参院選挙直後の記者全見で、「構造改革、構造改革と呪文のように唱えていると自然に支持が広がった」などとうそぶいていた。しかし、この2年間の体験を通じて、小泉内閣が実際にやってきたことがどんな内容であったか、そこにしだいに国民の目が向き始めています。
 小泉「構造改革」の柱の一つは「不良債権処理」という政策ですが、その内容は中小企業向けの貸ししぶり・貸しはがし、金利引き上げだという点がはっきりしてきた。銀行には、これまでに33兆円も公的資金が投入されたり、超金融緩和で資金が日銀からじゃぶじゃぶ供給されているのに、そこから先に資金がまわっていかない。それは、銀行が不良債権を処理しながら自己資本比率を高めようとしているからです。そのために、逆に超金融引き締め政策をとるようになっているのです。
 しかも、不良債権処理が中小企業の倒産・廃業、失業を増やしていくテコになっているということが明らかになってきた。不良債権処理をやればやるほど次々と不良債権が新たに発生してきた。昨年度、大手銀行は12兆円もの不良債権処理をおこなったが、新たに不良債権が増えたため、残高は6兆円しか減らなかったのです。今年度には、5兆円減らすといいますが、そのために10兆円もの不良債権処理をおこなわなければなりません。これでは、ほんとうにイタチごっこです。このような政策が、いかに中小企業をいじめるだけの意味のないものでしかなかったか、はっきりしてきた。
 しかし、小泉首相はまったく反省がありません。「早くやれと言ったり、ゆっくりやれといろいろな意見があるが、これをやらなかったら景気回復はない」などと、支離滅裂なことをいっている。昨年10月に出された「竹中プラン」は、市中への資金供給というほんらいの金融機能を破壊して、中小企業を倒産・廃業に追い込んでいくものでしかありません。
 小泉内閣が成立した当初は、野党のなかでも民主党や自由党などは不良債権処理をどんどんやれと言ってきたのですが、さすがに最近はそれをあからさまには言えなくなってきています。
 「構造改革」としてかかげてきた、もう一つの「財政赤字克服」、「財政構造改革」という路線ですが、これもこの2年半の経過を見ると、肝心の最大の無駄遣いである大型公共事業の無駄と浪費の構造そのものにはほとんどメスが入っていない。むしろ実体的にはその構造が温存されています。当初予算では一見、減らされているように見えても、補正予算で追加されて増やされるという事態が続いているわけです。諌早湾干拓事業、徳山ダム、関西空港二期工事など、われわれもたくさんの無駄遣い事業を告発しているのですが、一向にあらたまる気配は見えません。
 いわゆる「族議員」といわれる政治家たちが業界と結びついてその業界に有利になるように予算の配分をする腐敗・利権の構造、これもまったくあらたまっていません。
 小泉内閣は、財政赤字をどのように解決しようとしているか。「緊縮財政」ということで、結局、国民負担を増やし国民につけまわしするという形ですすめています。先の国会で強行された医療制度改悪などに、それが典型的に見られます。さらに今後、年金財源の口実で消費税の大増税もねらわれています。国民にたいする負担増・増税路線がますます強まろうとしている。しかし、肝心のムダと浪費の構造にはメスが入っていませんから、財政赤字はさらに増えつづけているのです。
 こうして、小泉「構造改革」路線は、すでにあらゆる面で行き詰まりと破たんを見せているし、その被害が多くの国民におよんでいる。これが実態ではないかと思います。

四、経済政策上のいくつかの問題(その1)−−とくに若者の雇用、サービス残業など労働条件の問題

 −−次に、いくつかの具体的な経済政策の課題をとりあげてみたいと思います。まず雇用問題や労働条件の問題について、日本共産党は、若者の仕事の問題、現場の労働者のサービス残業の問題、女性差別の問題など、国会でもいろいろな角度からとりあげ、政策的な提案もされていますが、その考え方をお聞かせください。

佐々木: 失業・雇用不安はひじょうに深刻です。日本共産党は、9月1日に「安定した雇用を増やし、雇用危機を打開するための四つの緊急提案」を発表しました。小泉内閣は、大企業のリストラを「構造改革」の一環として奨励し、派遣労働を製造業にも拡大するなど、労働法制の改悪をおこなってきました。そのため、大企業は正社員を減らしパートや派遣・契約社員などを増やしています。
 このなかで、特に深刻化しているのが若者の雇用問題です。完全失業者の半分は、34歳以下の若者です。大学卒の就職率は55%にまで落ち込んでいます。そして417万人もの若者が「フリーター」とよぱれるアルバイトや派遣社員、契約社員などの不安定な雇用状態になっています。
 1995年から2001年の間に、34歳以下の正社員の数を、中小企業は3万人増やしましたが、大企業は108万人も減らしました。大企業は、その一方で若者のパート・アルバイトを37万人も増やしています。大企業の責任は重大です。
 若者の雇用問題については、日本共産党の志位和夫委員長が、国会の党首討論会でとりあげました。志位委員長は、とくに政府の『国民生活白書』でも指摘しているフリーターの急増が引き起こす問題点などをとりあげて、大企業の正社員を増やすという責任を果たすべきではないかと徹底的に追及したわけです。これはたいへん大きな反響をよんで、署名運動なども民青のみなさんを中心に取り組まれるようになっています。
 これは、若者のなかで歓迎されているだけではなく、親の世代にも「いいことをやってくれる」と、大歓迎する声が寄せられています。私は最近、ある企業の幹部とお話をする機会がありましたが、その方は「私自身はリストラが大事だと思っている。それをやらないと企業の利益があがらない。しかし私の息子は、いまだに就職ができなくて大変困っている」と言っていました。象徴的なお話でした。
 若者の雇用に一番冷たいのは大手企業です。企業まかせにしておくと雇用問題は決して解決できません。そのための政府の姿勢が大事です。小泉内閣が発表した「若者自立・挑戦プラン」も、もっぱら若者に「自立・挑戦」をうながすだけで、「企業側」への対策はありません。これでは効果が上がりません。
 転々と仕事が変わる「フリーター」の増加は「日本全体の生産性を押し下げる要因になり、日本経済の成長を阻害するおそれがある」(『国民生活白書』)とまで指摘されているのですから、若者に安定した雇用を増やし「フリーター」からの脱出を応援することは緊急の課題になっています。
 そのため、大企業には、新規採用の抑制をやめ、若者の雇用にきちんと責任をはたすように求めなければなりません。党首討論で志位委員長は「政府として、若者の雇用を増やすよう本腰をいれて働きかけるべき」と提起しました。これにたいして小泉総理は、「看過できない大事な問題と思う。ご指摘の点も踏まえて雇用対策に力をいれていきたい」と答えました。そうであるなら、具体的な取り組みに踏み出すべきではないでしょうか。
 サービス残業も深刻です。これも、日本共産党が国会で200回以上の質問をおこなってきた大きな課題です。いま、男性の五人に一人が週に60時問以上も働いており、そのうえサービス残業は、労働者一人あたり年間200時間を超えると推定されています。このような長時間労働は、過労死や過労自殺、職場での「心の病」など、労働者の命と健康、家庭や家族のくらしに深刻な影響をおよぼしています。
 長時間労働・サービス残業をなくし、新規雇用を増やす本格的な取り組みをつよめることが急務となっています。私も国会で紹介したのですが、サービス残業をなくすだけで160万人の雇用が創出できます。これは、第一生命経済研究所の調査報告で指摘されていることです。
 サービス残業は、働かせて賃金を払わないのですから、明らかに企業の犯罪です。日本共産党はこれまで、くりかえしくりかえし国会でとり上げ、是正を求めるたたかいをすすめてきました。政府による取り締まりの強化を求め、国民的なたたかいの先頭に立ってきました。その結果、2002年4月、厚生労働省にサービス残業の是正を求める通達を出させるところまできました。さらに今年5月には、企業に労働時間管理の責任を明確にさせる指針−−「ガイドライン」も出させることができました。
 そして、2年半のあいだに150億円をこえる不払い賃金を支払わせることができました。たとえば、武富士一社に35億円を払わせるという成果もあげることができました。これは一社としては、最大の残業代の支払いです。私も、この点を国会でとりあげ、武富士が、従業員に過大なノルマを課し尻をたたくやり方を告発し、ただちにやめさせるべきだと政府を追及しました。
 サービス残業は、社全全体で見ると減っているかというと、残念ながら政府の試算でも、逆にはびこっているのです。なぜでしょうか。それは、小泉内閣が「構造改革」路線のもとで大企業のリストラをあおり奨励してきた、その姿勢に大きな問題があるからです。
 このような政策のもとで、大企業は徹底して人を減らす。職場の中は人手不足になる。それを残業で補う。しかし残業代は払わない。だから、サービス残業はいつまでたってもなくならない。あらゆる職場で、そういう構造がつくられてきているわけです。
 大事なことは、政府の姿勢をリストラを応援するこれまでの姿勢から、行き過ぎたリストラを規制する姿勢に変えなけれぱいけない。サービス残業の根絶を政府も財界もあげて取り組むように変えていかなければならないのです。残念ながら、小泉内閣にはそういう姿勢はありません。サービス残業を根絶するためにも、政治の転換が必要なことは明らかです。
 ともかく当面の利益だけを確保すれば社会的にどういうマイナスの影響が出てこようが、あとは野となれ山となれという、大企業の身勝手な行動を放置しておくわけにはいきません。今年の3月期決算をみても、売上は伸びていないのに利益があがっている。なぜか。リストラによって、労働者に賃金抑制と雇用削減という犠牲をおわせてあげた利益です。これは、大企業の雇用責任の放棄であり、社会全体として見れば、失業者を増やし消費を冷やす反社会的な行為なのです。個別の大企業が、目先の利益を追求すれば目先の利益は多少増えても、すべての企業が同様のことをやれば、全体として利益を生み出す源泉を破壊することになるのです。
 大企業に対して民主的規制を加え、その力を社全的に貢献する方向に発揮させていく。これは雇用の分野だけでなく環境を守る面でも大事なことです。今年のサミットでも「企業の社会的責任」ということがとりあげられ、言葉としては一応の合意となっています。しかし、社会的責任を真に発揮させる仕組みをつくらなければなりません。大企業の反社会的行為を是正させることができるかどうか、これが問われているのです。
 同時に重要なのは、公的な分野での雇用拡大です。国民のくらしに必要な公的分野での入手不足を解消し雇用を増やすことが、今ほど求められているときはありません。
 福祉、医療、防災、教育など、国民生活に必要な分野では、深刻な人手不足が起きており、住民サービスの低下にもつながっています。この解消を計画的にすすめることは重要です。たとえば、保育園に入れずに待機している子どもたちが6万2000人もいます。しかし、保育士が1万人以上も不足しています。医療では、患者数に対する看護師の数は、日本は、アメリカやイギリスの半分から四分の一、韓国の約7割にすぎません。地震や火災、土砂災害など防災面での消防力の増強が必要です。教育も、「30人学級」の実施や複数教員配置など、教育条件整備を計画的にすすめなければなりません。
 これらの対策を、全体として総合的に取り組むことによって、安定した雇用を増やしていくことは十分に可能です。

五、経済政策上のいくつかの問題(その2)−−税制、社会保障制度、財政再建の問題など

 −−次に「構造改革」の大きな柱である税制・財政問題、とくに消費税増税や年金問題とか、総選挙でも論議になると思いますので、税制・社会保障・公共事業の問題など、財政のあり万について、お聞かせください。

佐々木: まず当面の具体的な話で言いますと、来年度予算編成のシーリング枠が出されて、各省庁がその枠を前提にして予算要求を出しています。特徴的なのは、社会保障全体の枠について、自然増を大幅にカットするという方針を前面に出しているという点です。政府は、概算要求基準で、社会保障関係費の自然増分9100億円を、年金の物価スライド適用などで2200億円圧縮するとしています。これによる予算上の影響は約1050億円ですが、年金支給総額でみた実際上の影響は8000億円以上にのぼります。厚生年金のモデル世帯(夫婦二人、40年加入)の場合、年間約6万円もの給付減になるのです。
 ほんらい、予算で社会保障を支えなければならないのに、逆に社会保障をどんどん圧迫する方向が出されている。物価スライドは、年金だけでなく、児童扶養手当、被爆者手当に横並びで影響が出ます。そのほかのものを含めると、じつに1兆円ぐらいの国民負担増になるのです。
 この間、毎年のように繰り返されてきた社会保障予算の削減は、連続的な負担増・給付減となって暮らしを直撃しています。当面、最大の焦点になっているのは、年金の問題です。とりわけ公的年金の基礎年金の2分の1まで国庫負担を引き上げるという約束があったのですが、財源が見つかればということで、なかなかすぐにやろうとしない。なぜかというと、その財源を消費税増税でまかなおうとしているからです。
 これは根本的に間違っています。基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げは今すぐやらなければならない緊急課題です。しかし、消費税を財源にすることは絶対に認められません。年金財源は、歳入面では大企業優遇税制の改革、不公平税制の是正によって確保しなければなりません。また歳出構造の根本的な見直し、とりわけ大型公共事業を中心とするムダ遣いを徹底的に削って財源を確保すべきだというのが私たちの主張です。
 消費税の増税についていえば、いちばん熱心なのが財界です。日本経団連は、一方で法人税をさらに引き下げるように求めながら、他方で、来年から毎年一%ずつ税率を引き上げて「2014年度には16%に」という提案をしています。経済同友会は「2020年度には19%に」すべきだと言っています。日本経団連は、この増税に賛成する政党や政治家にたいして政治献金を再開するというのです。これは、財界がカネの力で国民に大増税を押しつけるものです。許すわけにはいきません。
 この消費税増税については、国民のなかに根強い批判の声があります。「朝日新聞」が6月におこなった世論調査では、消費税増税に反対が64%、賛成28%ということですから、反対論が圧倒的に多い。とくに青年、若い人ほど反対が強いのです。20代、30代は7割が反対で、女性の反対も非常に強いのが特徴です。
 消費税については、減税の要求も依然として強いものがあります。日銀の「生活意識調査」は半年ごとにおこなわれていますが、そのなかに、「あなたはどうすれば消費を増やしますか」という設問があります。「消費税を減税すれば消費を増やしたい」という答えが、毎回高い数字で出てい遂す。
 国民全体の要望からいえば消費税の増税は反対で、むしろ減税してほしいという声が強いのです。ところが小泉首相は、「私の内閣では消費税の増税はやりません」といいながら「議論は大いに結構」といっています。政府税調も中期答申で「二桁」の税率を明記しました。全体として、消費税の増税に向けた暴走がはじまろうとしています。
 もともと消費税は、所得の低い方々に重くのしかかるという逆進性をもった最悪の不公平税制です。税率の引き上げは、この逆進性をいっそう拡大し低所得者の生活を破壊するものになります。しかも、免税点を3000万円から1000万円に引き下げるなど、価格に転嫁できない多くの中小企業・業者に新たな納税義務を負わせるのですから、消費税の増税は中小企業・業者にとっては大変な営業破壊税になります。消費税は「間接税」ですが、実質的には「直接税」の性格をもって中小企業を直撃するのです。もちろん、景気対策にも完全に逆行するものになります。
 消費税導入から15年問の税収の累計は、136兆円にのぼります。ちょうど同じ時期に、法人三税(法人税・法人事業税・法人住民税)の税収は、累計で131兆円もの減収となっています。簡単に言えば、国民からしぼり取った消費税は、「社会保障の財源」どころか大企業への減税にまわされたと言ってても過言ではありません。この傾向をさらに進めようというのが、日本経団連の考え方です。
 私たちは、消費税の減税・廃止を要求してきました。その立場に立ってきた唯一の政党として、目の前でくり広げられている消費税大増税の危険な動きにたいして、これに反対するという一点で広範な国民的な共同を呼びかけ、そのたたかいの輪を広げていくことに力を注ぎたいと思います。
 日本共産党は、これまでも財政再建問題に関する政策をくり返し発表しています。たとえば、1996年の総選挙では「財政再建十ヵ年計画」という具体的で現実的なプランを提唱しました。あれから7年経過しましたので、具体的な数値はもちろん変化していますが、財政の民主的改革についての基本的な発想は変わりません。歳入の面では、大企業優遇税制にメスを入れ負担能力がある大企業には適切に負担してもらわなければなりません。それから、高額所得者にたいする課税も最高税率が異常に下がってきているわけですから、そういう点も是正することが必要です。さらに歳出面では、大型公共事業の無駄を徹底的に削ること、軍縮に転換し軍事費を削減すること、ODAなどの対外援助をあらいなおすこと、これらの抜本的な改革をおこなうことが必要です。
 こうして、全体として財源を確保しながら、予算の重点配分の方向を国民生活・福祉・教育の分野に厚くまわしていく。それから失業・雇用対策にふりむけるとともに農業や中小企業向けの予算を増やす。このようにして、国民の消費を拡大して景気を回復させ、日本経済を再建していくことが大事です。そのための重要な役割を財政が果たせるようにしていかなければなりません。

六、経済政策上のいくつかの問題(その3)−−日米関係、アジア・中国との経済関係など

 −−日本の場合には、税制・財政などの国内的な改革とともに、国際関係の中での21世紀の日本の進路、日米関係とかアジア・中国との関係とか、経済外交のあり方が問われています。日本共産党は、このところアジア、中国、中東などとの交流を深め、野党外交を発展させていますが、とりわけ経済政策の面からみると、どのようなことが大事だと思われますか。

佐々木: 対米関係でいうと、やはり自主的・自立的な経済外交への転換が求められていると思います。歴代の日本政府は、アメリカに経済政策の中身にまで深い介入を許してきたという根本問題がありました。たとえば90年代のはじめ、アメリカは日本に内需拡大をさかんに要求し、その手段として公共事業をどんどん増やせということで、10ヵ年で430兆円(後に630兆円に増額)の「公共投資基本計画」をつくらせました。アメリカ政府は、日本の財政のなかにまで手を突っ込んでさまざまな指図をおこない、今日の財政破たんの重大な要因となってきました。
 さらに「規制緩和」でいえば、流通分野での大型店への規制を緩和せよとか、あるいは「金融ビッグバン」をやれと外圧をかけてきました。「不良債権処理」策もそうです。こうして、アメリカ資本かどんどん日本国内で活動ができる分野を広げ、巾小企業にたいへんな被害をあたえてきました。それでもまだ足りないと尻をたたかれる。こういう状況がくり返されているわけです。
 このようなアメリカからの不当な圧力をきっぱりと拒否し、自主的な判断で日本の経済政策がおこなわれていたら、まったく違う経済状況が生まれていたのではないかと思います。90年代の教訓から言っても、アメリカの内政千渉的な圧力にたいして、自主的な立場から毅然とたちむかって、真に国民の立場に立った経済政策を推進することがいかに大切か、明らかではないでしょうか。
 二つ目は、アジアとの交流の問題です。これはたいへん大事だと思います。日本共産党の野党外交は、さまざまなかたちでアジア・中央との交流を深めてきました。東南アジア歴訪、中東諸国歴訪、南アジア歴訪、北アフリカのチュニジア訪問など、ここ数年間の日本共産党の野党外交の発展には、目を見張るものがあります。訪問した国々では、例外なく自主的な目標を持ち自主的な国づくりをめざしていることが特徴です。日本共産党は単純な「グローバル化反対」という立場ではなく、アメリカを中心とした多国籍企業と国際金融資本の利益優先の世界化でなく、諸民族の経済主権が保障された公正で民主的な世界化という方針をもって、これらの諸国との交流を深めてきました。
 不破議長を団長とした1999年の東南アジア歴訪に、私も参加しました。たとえばマレーシアの経済政策の経験などを聞きましても、アメリカの投機的な資本といかに対峙して金融政策面での自主的な姿勢を貫いて成果を上げてきたか、等々の話はたいへん教訓的でした。アジア通貨危機のとき、自主的な政策をきちんと確立して経済再生を実現してきたという話を、われわれは感動をもって聞きました。そういうアジアの自主的な取り組みを、おたがいに協力しながら支え合う関係がたいへん重要ではないかと感じます。
 その点では、東南アジア諸国連合(ASEAN)が重要な役割を発揮しています。日本、中国、韓国をふくめた東アジア全体で、それぞれの国の独自性・多様性を尊重しつつこの地域での平和の確立をめざすことは重要な課題です。それとともに、経済や文化の面でも協カを発展させる共同体をつくる動きが進んでいることは、たいへん注目に値します。そこでは、「アメリカと友好関係を持つが支配されない」、「どの国の覇権も認めない」、「アジアのことはアジアで」などの原則に立った東アジアの共同体が構想されています。
 平等・互恵の立場から、それぞれの国内経済の自主的発展をそれぞれの国が支え合うような関係が大事だと思います。それは、多国籍企業やアメリカを中心とした金融資本の横暴をおさえることと結びついた課題です。私たちが主張している、日本の大企業の多国籍企業的な展開にたいし民主的な規制を加えていくという運動は国内でももちろん大事ですが、国際的にもルールある行動を確立していくという点で、重要な課題だと思います。

七、日本共産党の経済政策の発展−−注目される党綱領改定案と大会決議案

 −−日本共産党は、次の党大会へむけて綱領の改定案と決議案を発表しています。いま活発な論議がおこなわれていますが、最後に経済政策の面で注目すべき点などについて、お聞かせください。

佐々木: 今度の綱領改定案では、民主的改革の内容をきちんと書き込んだというのがたいへん重要な点だと思います。ここでは、全体について述べることはしませんが、たとえば日本のルールなき資本主義の現状を打破するという課題については、次のように規定しています。「『ルールなき資本主義』の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」。
 また、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」という提起もたいへん大事な点だと思います。「民主的規制を通じて、労働者や消費者、中小企業と地域経済、環境にたいする社会的責任を大企業に果たさせ、国民の生活と権利を守るルールづくりを促進するとともに、つりあいのとれた経済の発展をはかる」としています。こうした課題は、いま現実にわれわれが取り組んでいる重要な課題でもあるわけです。
 それから食料自給率の向上という点を、国民生活の安全の確保という点と国内資源の有効な活用、こういう点で重視しています。特に農林・水産政策、エネルギー政策などの面、つまり日本経済の土台を支えていく産業を強化するという展望も出しています。とりわけ農業については、「国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける」と述べています。
 綱領改定案で民主的改革の基本的な内容をこのように明確にして提起しているという点がたいへん重要です。
 さらに決議案では、自民党政治の行き詰まりを打開する当面の経済政策の基本を明らかにすると同時に、たたかう意義を強調しています。
 たとえば、無法なリストラにたいして、全国各地の職場で「職場にルールを」をスローガンにかかげ、不当な解雇、転籍などとのたたかいを広げてきたこと、「サービス残業」根絶をめざすたたかいで、不払い賃金を支払わせるなど大きな前進を踏みだしたこと、などを強調しています。
 また、大企業の一方的な工場閉鎖による地域の空洞化や、信用組合・信用金庫を無理やりつぶす小泉内閣の方針にたいして、地域経済、地域金融を守るたたかいが大きく広かったことを指摘しています。地域ぐるみの運動で、工場閉鎖計画を撤回させ雇用を確保させるなどの成果についても重視しています。
 社会保障をめぐっても、大きなたたかいがもとめられてきました。健康保険自己負担を3割に引き上げた暴挙にたいし、これまでになく大きな反対運動が発展しました。医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会などもふくめて、幅広い国民的共同の運動が広がったことは、大きな意義を持ちました。これは、ひきつづき白己負担を軽減せよというたたかいに発展しています。
 生活危機打開を願う要求は、国民の各階層によって多面的な広がりを持っています。また地域ごとにも独特の特徴を持っています。ですから、切実な要求の全体を視野に入れながらも、多様なたたかいを発展させる必要があります。日本共産党の大会決議案では、このことを強調しています。
 また、党大会決議案では、当面の焦点として三つの課題をとりあげて国民的な大運動を呼びかけています。
 第一は、リストラに反対し、安定した雇用を拡大するたたかいです。
 無法なリストラに反対し、「サービス残業」の根絶と長時間労働の是正、年休の完全取得をはからなければなりません。安定した雇用を拡大し、雇用と労働のルールを、つくるためのたたかいの発展が必要です。
 第二は、社会保障の連続改悪に反対し、予算の主役にすえるたたかいです。
 社会保障予算の毎年のような削減は、連続的な負担増や給付減となって国民に襲いかかっています。決議案では「社会保障という本来なら暮らしの安心の支えとなるべき制度が、国民の生活不安の大きな根源となっている」と、指摘しています。
 とくに来年度にも計画されている年金制度の大改悪に反対するたたかい、医療費のとめどもない負担増をやめさせ負担軽減を求めるたたかい、高すぎる保険料・利用料など介護保険の矛盾を改善するたたかいは、当面する焦点です。安定した社会保障財源を確保する政策的展望を示しながら、社会保障を予算の主役にすえるたたかいを発展させることを強調しています。
 第三は、消費税の大増税計画を打ち破る国民的闘争です。先ほど述べたように、もともと消費税は、所得の少ない人に重くのしかかる逆累進性を本質とする最悪の不公平税制であり、「生活破壊税」そのものです。税率引き上げは、この逆累進性をいっそう深刻にし貧富の格差をひろげ、庶民生活と日本杜会に荒廃をもたらすものとなります。
 また、価格に転嫁しきれず身銭を切って納税している中小零細企業にとって、税率引き上げは業者を倒産・経営困難に追いこむ「営業破壊」そのものです。しかも、消費税増税は、消費を冷やす「景気破壊」であることは、論を待ちません。
 「社会保障の財源のため」という増税の口実も成り立ちません。これだけ、連続して社会保障の改悪がおこなわれ、国民負担・給付減が続いてきたのですから、消費税が社会保障のためという理屈はまったく通用しません。財界の提言でも、消費税の大増税が法人税のいっそうの減税とセットで打ち出されています。「社会保障の財源のため」でなく、「大企業の税負担のいっそうの軽減のため」というのが本音でしょう。
 日本共産党は、消費税の廃止をいっかんして求めている党です。いま、暮らしも経済も破壊する消費税大増税が強行されようとしているとき、それに反対する一点での広大な国民的共同とたたかいがもとめられています。大会決議案は、「日本列島津々浦々からこの運動を起こすこと」を呼びかけています。
 大会決議案は日本の食料と農業の危機を打開するための重要な指摘をおこなっています。食料自給率は低下をつづけ、家族経営の多くは存続すら危ぶまれており、農業の破壊は、国土・環境の保全や地域経済の維持にとっても深刻な影響を与えています。また、輸入食品の残留農薬問題やBSEなど「食の安全」か脅かされ、多くの消費者、国民が不安を強めています。
 産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づけ、その再建をはかり、食料自給率を計画的に向上させることは緊急の国民的課題です。世界的な食料不足か懸念されているもとで、農業の全分野を一律に貿易自由化の対象にするやり方をあらためなければなりません。日本の米など、各国の食科自給で中心的位置を占める農産物を輸入自由化の対象からはずし「食料主権」の確立をめざすことが重要です。
 このように、日本共産党の綱領改定案と大会決議案は、総選挙をたたかう土台となるたいへん重要な文書となっています。
 いま、民主党と自由党の含併という動きがあります。しかし、新しい民主党の綱領はつくらないようです。いまの民主党のホームページを見ても、党の組織運営についての規約はあります。
、綱領はありません。合併後の政策についても、基本的には民主党の政策を引き継ぎ、それを整理して「マニフェスト」をつくるというのが基本的な考えのようです。
 与党である自民党は、もともと財界とアメリカの意向を反映する政党です。まともな改革なんてはじめから問題にならない。公明党も、自民党政治の先兵としての役割しか果たしていない。
 ですから、日本の現状をふまえて基本的な改革路線を綱領問題として議論し、たたかう方向を鮮明に打ち出している政党は、いま日本共産党しかないのです。
 いよいよ総選挙が近いので、「政権交代論」などがいろいろ議論されています。今年は、細川政権が誕生して10周年ということもあって、細川政権がもう少し続いていればという声が、白由党や民主党などから聞こえてきます。
 しかし、細川政権はなぜ崩壊したのかということを考えなければいけません。もともとこの内閣は「自民党政治の基本路線の継承」を宣言した政権でした。やったことといえば、WTOとの関連でコメの輸入白由化を強行した。それから、消費税を国民福祉税と名前を変えて七%に引き上げるという提案をして国民の総スカンを食った。政治資金の問題では、企業・団体献金を温存しながら政党助成金制度をつくって政党が税金を山分けする仕組みをつくった。選挙制度では小選挙区制を強行し民意をゆがめる仕組みを導入した。自民党政権でもできなかった悪政をすすめた。そして、細川首相本人は金権腐敗疑惑で辞任せざるをえなかったのです。
 これらの事実を見ると、細川政権がもっと長く続けばよかったなどと、決して言えないはずです。過去の教訓を踏まえて、二度と同じ過ちをくり返さないことこそ大事なことではないでしょうか。そして、自民党政治のどこをどう変えていくのか、改革の方向を明らかにすることだと思います。いまのところ、日本共産党以外の野党にその旗印がはっきり見えてこないのは残念なことです。
 日本共産党は、当面の緊急の経済政策はもちろん、将来の改革の中身を綱領改定案のなかではっきりと示し、日本経済の根本的改革を提起しているただ一つの党です。日本共産党の躍進こそ、しっかりした野党戦線をつくっていく確実な保障です。いま、政治は非常に流動的ですから、国民の願いに真にかなう政治の流れをつくることができるかどうか、そしてまた野党全体がそういう方向に向かうことができるかどうかそれは、野党らしい改革の党、日本共産党の前進が最大の保障なのです。

 −−どうもありがとうこざいました。

(2003年9月18日)

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