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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 寄稿文

【03.07.24】サービス残業を根絶せよ 背景にリストラをあおる政府の姿勢名タイ

「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2003年7月24日


 労働者に残業をさせて残業代を払わない「サービス残業」は、企業の犯罪だ。労基法によれば、懲役や罰金刑が科されることになっている。
 このような「企業犯罪」は、絶対に根絶しなければならない。しかし、実態はどうだろう。18日の予算委員会で、私は、その現状について坂口厚生労働大臣に聞いた。大臣は「サービス残業は増える傾向にある」と答えた。
 たしかに、国民生活審議会が昨年7月に出した報告書には、こう書かれている。
 ――「失業者が上昇するという『人余り』現象がある一方で、就業時間が長期化している者はむしろ増えている」。また、「大企業では全体として雇用者数を減らしながら、同時に長時間労働の社員の割合を高めているという様子がうかがえる」。
 私は、独自の試算にもとづいて、サービス残業が増えていることをパネルでしめした。また、次のような労働者の家族の訴えを紹介した。
 「このままでは夫が過労死してしまう。万一のことを考えて帰宅時間をメモしています」という家族の訴え、「息子が、毎日のように残業で夜中まで働かされ、過労死するのではないか」と心配する母親の訴え、なども紹介した。
 なぜ、このような事態がなくならないのか。その原因は、小泉内閣が「構造改革」の名で、大企業のリストラをみずから煽っているからではないか。
 労基署の調査にたいする会社側の不当な対応も問題だ。たとえば、連合のホームページに寄せられた労働者の訴えに、こういうものがあった。
 ――「先日、監督署が調査に入りましたが、会社は残業はないと回答した。事前に上司たちは私たちにも口裏を合わせるように言いました。しかし、実際には月に100時間ぐらい残業があって、自己申告制ですが、申告しても翌月の給料には全く反映されません。監督署が入っても使用者が『ない』と答えれば、何も改善されません」。
 これでは、法律があっても尻抜けだ。違法を繰り返す悪質な企業名を公表するなど厳しい罰則を課すべきだ。
 私は、小泉総理に日本経団連の奥田会長に「サービス残業」を根絶するよう申し入れるべきだと追及した。小泉首相は「経団連会長に会ったさい、(サービス残業を)減らすように、よく配慮していただきたいと申し伝えたい」と答弁した。
 第一生命経済研究所の試算がある。それによると、サービス残業をなくして雇用を拡大すれば、失業率は3%に引き下げることができる。労働者に支払う部分が増加するので、その分、企業収益を圧迫し設備投資の下押し圧力になる。しかしそれを考慮しても、差し引きのネットで見れば2.5%の実質GDP押し上げ効果が期待できる。
 要するに、サービス残業をなくせば、企業犯罪が減って賃金と雇用が増え経済も成長するのだ。“一石二鳥”“一石三鳥”の効果があるではないか。

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