憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【03.07.10】国民だまし討ち 売却時拠出金廃止 銀行言いなりの与党名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2003年7月10日
最近の小泉内閣の経済政策をみると、りそな銀行に2兆円注入するなど「何が何でも銀行を応援する」という中身が見え見えです。
最近、財務金融委員会に提出・採択された「銀行等の株式制限に関する法律の一部改正案」もそのひとつです。
現在、銀行が持っている株式を買取るための「株式買取機構」という仕組みがあります。その「機構」が買い取った株が値下がりして損が出れば、税金で穴埋めするという身勝手なものです。これを、いっそう銀行に有利に変えようというのが与党の提案です。
一昨年、この仕組みをつくる法案が出たとき、私たちはもちろん反対しました。
そのときの政府の言い分は「銀行から株を買い取るさい、株価の8%を銀行が負担する売却時拠出金を盛り込んだので、国民だけに負担させるわけではない」というものでした。
ところが今度、提案された内容をみてびっくりしました。なんと、この売却時拠出金を廃止することが盛り込まれたのです。国会と国民をだまし討ちにするようなものです。
与党の提案理由を聞いて、さらに驚きました。――「関係者からは制度を利用しやすいものとして欲しいという要望が寄せられております」というのです。
「関係者とはいったい誰か」。私は、与党の提案者に聞きました。提案者である自民党の熊代議員は「全銀協からあった」といいました。要するに、銀行の言いなりで提案された法案だったのです。
「売却時拠出金は負担になるから廃止してほしい」と、銀行に頼まれたのでしょう。本当にあきれてしまいます。
銀行負担を撤廃し、その分はすべて国民にかぶってもらいます。――こういうやり方で、どうして国民の理解が得られるでしょうか。
銀行を応援するためなら、国民にどんなに負担を押しつけてもかまわない。まったく、とんでもない法案だと言わなければなりません。自民党や公明党が誰のための政治をしているか、はっきりしました。
政府・与党は、これが株価対策だと位置づけています。与党金融政策プロジェクトチームは、5月に発表した「当面の緊急・経済対策」で「銀行の保有株式の市場への放出が、株価の下げ圧力となっている見方があることから……機構の機能の改善を図る」と明記しています。
しかし、公的資金による株価操作は、公正な市場の形成をゆがめるものです。株価対策としての効果もありません。
株価は、経済の実態を映す鏡です。経済の実態を回復させ、企業業績を改善することなしに、公的資金で株価を支えることばかり考える政府の政策は、根本的に誤っています。