憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【03.06.26】企業献金闇の中へ これが『改革』なのか!! 政治資金規正法改正案の中身 公開基準 5万円から24万円に名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2003年6月26日
延長された国会に、与党が提出した政治資金規正法「改正」案を見て驚いた。
公共事業受注企業からの献金を規制する方策が、まったく打ち出されていないうえ、これまで見えていた企業団体献金の大半をヤミに隠す内容になっているからだ。
献金の公開基準を5万円から24万円に引き上げることによって、透明度がほとんどなくなってしまうのである。
たとえば、私は昨年2月に「ムネオハウス」を追及した。鈴木ムネオ議員には、「北方4島」「アフリカ」支援事業の受注企業のほとんどが会費のかたちで献金をしており、大半が24万円以下だった。
また、暴力団系企業から献金を受け取っていた松浪健四郎議員の場合も、18万円とか6万円というかたちで受け取っていた。
これらが、会費制で毎月献金がおこなわれるようになると、完全にヤミに隠されてしまう。どうしてこれが改革なのか。逆流そのものではないか。
私が、23日の予算委員会でこの点を指摘すると、小泉総理は「見解の相違だ。誰に献金したか分かるといやな人もいる。規制すればいいというものではない」と答えました。これは、開き直り以外の何ものでもない。
1994年に公開基準を5万円に引き下げたのは、企業団体献金の透明度を高め、個人献金中心に変えていくためではなかったか。
国民の目から隠して、企業献金を増やすことがどうして「改革」なのか。まったく、理解できないことだ。
私は、閣僚の政党支部について、24万円以下の献金について「月ごとの会費として振り込む」との想定で2001年分の政治献金を計算してみた。そうすると、なんと5割から9割が隠れてしまい不透明になってしまう。
不可思議なのは公明党の態度だ。「公明新聞」では、政治献金の公開基準を引き上げることに、「時代に逆行する」と反対のキャンペーンを張り、神崎代表も冬柴幹事長も「反対だ」と言ってきた。
ところが、クルッと態度を変えて「賛成」にまわった。いったいどう説明するのか。
私の質問に、公明党の坂口厚労大臣は「公明党にもいろいろ意見がある」「それは党の方に聞いてもらいたい」などと、支離滅裂な答弁だった。
もうひとつは、与党が献金の上限を「年150万円に制限したので規制が強まった」と説明していることだ。
しかし、上限150万円という規制は、政党の本部への献金は対象になるのか。私の質問に、片山総務大臣は「対象にならない」と述べた。
そうすると、自民党の資金管理団体である国民政治協会への献金は、資本金規模によって750万円から1億円まで献金を受け取ることができ、それはまったく制限を受けないことになる。まさに、野放し状態ではないか。
仮に150万円に制限してみても、1件あたり150万円を超えている大臣は、閣僚でも3人、8件にすぎなかった。これでは、尻抜けでほとんど効果がない。
いま必要なのは、公共事業受注企業からの献金をきっぱりと禁止することではないか。
国会を、40日も延長して、イラクの占領米軍に自衛隊を派遣する憲法違反の法案を提出し、どさくさに紛れて、企業団体献金の規制を骨抜きにするなど、とんでもないことだ。こんなやり方は、絶対に容認できるものではない。