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国会での活動

国会での活動 − 国会質問財政(予算・公共事業)

【14.08.13】安倍総理のトップセールス

 安倍総理の外遊の数は、9月に予定する南西アジアのバングラデシュ、スリランカ訪問で、歴代首相でトップとなります。(実績は表の通り)
 2012年12月の第2次政権発足以降49カ国となり、現在1位の小泉純一郎元首相(48カ国)を抜くそうです。ただし、小泉氏は5年5ヶ月かけて行ったのです。

 これに対し、安倍総理はわずか2年にも満たない期間ですから、そのハイペースぶりが目立ちます。
 しかも、その多くが、多数の大企業関係者を同行するトップセールスです。――その内容については、順次お伝えします。
 一方、東アジアでは、中国や韓国へは未だ訪問していません。中韓両国は第1次政権で最初に訪問したにもかかわらず、首脳会談すらいまだに実現しておらず両国との関係悪化ぶりが際立っています。

 安倍総理の外遊の多くは、多数の大企業関係者を同行するトップセールスです。これを、政府は「経済ミッションの同行」と言ってます。それを一覧表にまとめたのがこれです。
 トップセールスの目的としては、原発輸出もありますが、今回の中南米訪問では、EPA・TPPにより日本企業の投資環境を整備するよう要請しています。 また「地球儀を俯瞰する外交」を進めながら「成長戦略では、対日直接投資をインフラ輸出と並ぶ重要政策と位置づけ」ています。そのためのトップセールスであり、大企業が「世界一稼ぎやすい国」に作りかえる「日本再興戦略」ということだと思います。
 外務省によると、同行の人々の旅費と宿泊代は各企業・団体で払っているそうです。人選は、総理の意向で官邸サイドがおこない、官邸からの呼びかけに企業側が応ずるかたちになっています。
 この点については「今年の経団連・夏季フォーラム」(7月24日)で安倍総理自身が「成果を上げていますから、お誘いをしたらぜひ分かったと言って応じていただきたい」と述べています(官邸HP)。
 経団連の夏季フォーラムは、毎年2日間、軽井沢で開かれていましたが、今年は、経団連会長とともに中南米を訪問するため日程を変更し、1日のみ東京での実施となりました。安倍政権との連携を強める榊原新会長の意向が、ここにも反映されています。

関連する「しんぶん赤旗記事」

首相 大企業引き連れ のべ445社・団体 1245人 武器・原発 外遊で売り込み
2014年8月30日付



 安倍晋三首相は2012年12月の就任以来23回の外遊で、のべ54カ国を訪問し、その多くで大企業関係者を引き連れて日本企業の商品を売り込む「トップセールス」を展開してきました。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調べによると、安倍首相の外遊に同行した大企業関係者は、のべ445社・団体の1245人に上ります。(表)

 安倍首相は昨年3〜5月のモンゴル、ロシア、中東訪問を皮切りに、トルコ、アフリカ諸国、インド、オーストラリア、中南米などを外遊してきました。外務省によれば、8月29日時点での安倍首相ののべ外国訪問数(54カ国)はすでに、歴代最多とされてきた小泉純一郎元首相の51カ国・地域を上回っています。

 安倍首相の外遊は、経団連の榊原定征(さだゆき)会長を筆頭に、35〜383人もの大企業関係者を同行させてきたのが特徴です。旅費と宿泊代は各企業・団体が負担。人選は安倍首相の意向で官邸サイドが行い、官邸の呼びかけに企業側が応じる形です。

 安倍首相に同行した榊原氏は訪問先のブラジルで「今回の総理のご訪問は中南米諸国とわが国との交流拡大に向けて新たな歴史を切り開く画期的なものであった」「その歴史的な訪問にわれわれ経済界が同行できたことを大変うれしく思っている」(2日)と喜びをあらわにしました。

 これまでの外遊で安倍首相は(1)武器輸出に向けた協力関係の確立(2)原発の輸出(3)住民を追い出す大型開発への日本企業の参加―を促してきました。英仏とは新たな軍事技術やミサイルの共同開発で合意し、武器輸出の拡大に道を開きました。原発輸出ではトルコやインドなどへの売り込みに躍起になっています。

 外遊に同行した企業には、三菱重工、東芝、日立製作所、川崎重工、日本電気、IHIなどの原発・軍需メーカーや、大成建設、鹿島建設、大林組などの大手ゼネコンがずらりと名を連ねています。  

国内外からの怒り買うだけ

 佐々木衆院議員の話
 安倍首相は、国民に大増税、福祉切り捨て、物価高を押しつけながら、多国籍大企業のために世界中を駆け回っています。その目的は、武器、原発、大型開発の輸出、対日投資の要請などです。海外では平和と安全を脅かし、国内では大企業に「世界一稼ぎやすい国」を提供する。こんな「トップセールス」では、内外の怒りを買うだけです。

 安倍晋三首相による国をあげてのトップセールス。かつてない態勢で海外に売り込んでいるのは、これまで輸出が禁止されてきた武器、新たな「安全神話」にもとづいた原発であり、大規模開発での多国籍企業の巨大利権もちらつきます。(金子豊弘、佐久間亮、杉本恒如)

武器で稼ぐ国へ加速

 安倍首相の外遊の際立った特徴は、軍需メーカーを引き連れながら、武器輸出を含む軍事面での協力を推し進めていることです。
 2013年4月〜14年1月の外遊では、ロシア、中東(サウジアラビア、トルコ、バーレーン、カタール、オマーン)、インド、ミャンマーなどの首脳と「防衛交流」「防衛協力」の強化や促進で合意しました。外遊には、過去に防衛調達上位社に入ったことのある日本企業のべ社が同行しました。
 訪問国とは別途、戦車エンジンの共同開発(トルコ)や、救難飛行艇US2の輸出(インド)をめぐる交渉も行われてきました。
 武器輸出を禁じた「三原則」を4月1日に廃止すると、安倍内閣による武器輸出の動きは加速。4〜5月の欧州訪問の中で安倍首相は無人システム開発での協力(フランス)や、武器共同開発の促進(イギリス)で、各国首脳と合意しました。
 7月12日には、地対空誘導弾パトリオット「PAC2」の部品を米国に輸出すること、ミサイルを共同開発するため英国に技術情報を移転することを決めました。PAC2の部品輸出は米軍需企業大手レイセオン社が要望してきたものです。
 一方、日本経団連も「提言」(13年5月14日)で「グローバル化を進め、防衛生産・技術の維持につなげていく」と強調し、武器輸出で稼ぐ姿勢を鮮明にしています。
 ハイテク通信技術の軍事化に詳しい大東文化大学の井上照幸教授によると、「日本企業がつくる精度の高い民生品は軍事品への転用が容易なので米国が強く供与を求めてきた歴史があります。日本企業にとっても世界の軍需が垂涎(すいぜん)の的になってきました」。
 しかし「日本企業は民生品を中心につくったから生き残ってきた。軍事に頼るのは危険です」と井上氏は話します。「この道を進めば戦前の『死の商人』の坂を再び転げ落ち、軍事費を増やすために戦争が起こらなければ困るという呪縛にとらわれます。ものを壊し命を奪う兵器の売り上げに依存するのはろくな国ではありません」

住民排除の大開発も

 安倍首相のトップセールスは、大企業の海外進出を後押しし、巨額利権を獲得するのが狙いです。その一方、途上国での巨大開発は、住民を強制的に移住させ、生活の糧を奪う事態が進んでいます。
 昨年5月、約40の日本の大企業・団体を引き連れてミャンマーを訪問した安倍首相は、現地の経済セミナーで「ティラワ開発は、日本とミヤンマーの協力の象徴であり、ミャンマーにおける雇用創出の起爆剤です」とあいさつしました。
 ティラワ経済特別区開発事業とは、ヤンゴン中心市街地から約23キロ南下したティラワ地区での総合開発計画です。
 同開発計画を日本政府は「開発途上国におけるインフラ支援のモデルケース」と位置付けています。
 開発地域で強制的な立ち退きを迫られた住民たちの実情は違います。開発に伴う農地喪失や生活手段の喪失などの被害を訴え、異議申立を行っています。
 安倍首相は今年1月、アフリカのモザンビークを訪問。同国のナカラ回廊と呼ばれる地域の開発に5年間で700億円の政府開発援助(ODA)を供与することを約束しました。同地域での開発計画は「プロサバンナ計画」と呼ばれ、日本、ブラジル、モザンビークの3政府共同事業です。日本の耕作面積の3倍を超える約1400万ヘクタールが対象です。この地域には400万人以上の小規模農民とその家族が居住し、自給自足に近い農業が行われています。この事業によって輸出作物中心の大規模農業が導入されると農民たちは、土地と生活を奪われてしまいます。同国の農民組織は、事業の緊急停止を3カ国に求めています。
 国際的援助団体であるオックスファム・ジャパンで調査・提言を担当している森下麻衣子さんいいます。
 「今、現地の農民たちは、大資本による土地収奪の危険に直面しています。日本政府は、大企業のための巨大開発を進めるのではなく、農民たちの声に真しに耳を傾け、農民のための農業支援を行うべきです」

原発輸出に地元反発

 安倍首相は、就任後初の外遊先となったベトナムで原発建設推進を確認したのを手始めに、海外に原発を売り込んでいます。安倍政権は、現在3000億円の海外受注を20年までに2兆円に拡大する計画です。
 中東訪問ではアラブ首長国連邦やトルコと原子力協定を締結。トルコには昨年2度訪れ、三菱重工・伊藤忠・仏アレバ企業業連合のシノップ原発の優先交渉権獲得を強力に支援しました。
 インドとも原子力協定の交渉を続けており、今月末のモディ首相訪日でも議題になるとみられています。
 フランスとは原発輸出での連携を確認。ワルシャワではポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキアの4カ国の首脳と会談し、原子力分野での協力を盛り込んだ共同声明を発表しています。
 東電福島第1原発事故で国内の新増設が見込めなくなるなか、日本の原子炉メーカーは海外に活路を開こうとしています。
 三菱重工は福島事故後に1700億円まで減った原発の受注額を、海外進出を強めることで中長期的に5000億円に増やす計画です。日立、東芝の経営方針も同様です。(表)
 安倍首相のトルコ訪問には2度とも三菱重工と伊藤忠が同行。インド訪問には3原子炉メーカーがそろって参加しています。
 各地の輸出予定地では住民の反対運動が起きています。
 今月はじめトルコの原発立地予定地(シノップ県シノップ中央市)を訪れた「FoE Japan」の吉田明子さんは、同地では隣国ウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故の記憶が強く残っており、住民の多くが建設に反対していると指摘します。
 会談した建設予定地両隣の首長は「美しい環境を子孫に残さなければいけない」(ゲルゼ町長)、「原発は人類と相いれない」(アルフェレク町長)と語り、明確に建設に反対していたといいます。会談できなかった中央市市長も反対の立場です。
 「地元の人々も強く反対している原発を輸出することは問題です。福島事故が収束しないなか、原発のトップセールスは現実をみているとはとても思えません」(吉田さん)

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