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国会での活動

国会での活動 − 政治経済キーワード金融(銀行・保険・証券)

【政治経済キーワード】NPOバンク

しんぶん赤旗日曜版 2010年5月30日より


 NPOバンクとは、市民から出資者を募り、環境、福祉、社会的事業、生活困窮者救済などの事業に直接融資を行う金融システムの総称です。NPOは、非営利の民間組織で、法人格のある場合は「特定非営利活動法人」と呼ばれます。


 現在、国内には10を超える団体が存在し、融資先が社会的事業という他に低金利、無担保などの特徴があります。
 有名なNPOバンクとしては、音楽バンド「ミスターチルドレン」の櫻井和寿さんや作曲家・坂本龍一さんら著名人が出資している「ap bank」があります。
 「ap bank」は環境問題を重視し、これまでに太陽光パネルの設置や養殖珊瑚の移植などに融資をしています。
 その他のNPOバンクでは、在宅介護サービスを行う小規模多機能居宅施設や障害者支援の団体が行うカレーショップの開設資金への融資など、団体の目的に応じて社会的起業・NPO活動への金融支援を行っています。
 改正貸金業法が完全実施(6月18日)されれば、NPOバンクの活動が困難となりかねないことが大きな問題がありました。
 そもそも、改正貸金業法とは、サラ金などの略奪的金融をやめさせ多重債務者の救済を目的として、2006年の12月に全会派一致で成立しました。
 この改正により、出資法の上限金利を引き下げられグレーゾーン金利を廃止しました。また、借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐための総量規制が導入され、借金の上限が年収の3分の1までに制限されました。貸金業者は借り手の総借入額を把握するために、指定信用情報機関への加入が義務付けられました。


 貸金業法は「貸付を業としているもの」すべてを対象としているため、NPOバンクもサラ金と同じ扱いとされました。
 この扱いに、全国NPOバンク連絡会は声明を出して次のように問題点を訴えました。
 「NPOバンクの個人融資先の信用情報が銀行等にも見えてしまう。NPOバンクからの融資をサラ金から借りていると評価され不良債権先と判断されかねない。そのため借り手は教育ローンなどの資金が借りられなくなる懸念がある」
 「総量規制が妨げとなって、専業主婦等の起業への融資が困難となる」
 4月16日の衆院財務金融委員会、日本共産党の佐々木憲昭議員は、改正貸金業法は期日どおり完全施行すべきとした上で、「NPOバンクはサラ金とは違う。金融機関が融資を行わない社会的事業に資金を提供する重要な役割を果たしている。NPOバンクは適用除外とするべき」と主張しました。
 亀井静香金融担当大臣は、政府としてバックアップしていくと約束。4月26日に公表された改正貸金業法に関する内閣府令案は、NPOバンクを適用除外としました。
 昨年の総選挙で日本共産党は、「地域社会や福祉、環境保全などの活動を行うNPOに対し、市民の自発的な出資に基づく融資を行う場合の法制度を新たに確立します」と公約しています。
 今後は、NPOバンク法(仮称)の制定し、本格的な活動が行える体制づくりが求められています。


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