国会での活動
【政治経済キーワード】ATS(列車自動停止装置)
2005年5月13日
JR福知山線の脱線事故は、107人もの方が亡くなるという大惨事になりましたが、この現場に設置されていたATS(列車自動停止装置)は、旧国鉄時代に導入された初期型をわずかに改良したタイプで、機能は運転士が赤信号を無視した場合に非常ブレーキを作動させ、列車を停止させるという最低限のものです。運転指令も、進行中の速度を把握できないという旧型でした。
新型の列車自動停止装置(ATS−P)は、列車の速度を常にチェックし、赤信号を無視して進行しようとした場合は、ただちに列車を停止させます。また、カーブで速度を抑えることができます。
JR西日本の場合、このような新型列車自動停止装置(ATS−P)の整備率は7・7%(在来線に占める区間)です。ATS−Pは、地上設備と車上設備の両方が整備されていて初めて機能するものです。今回転覆・脱線した快速電車には同装置が搭載されていましたが、地上設備が未整備でした。
大量の乗客輸送の安全性を真剣に考えるなら、本来、この新型ATSの設置を何よりも優先すべきですが、JR西日本では設置工事費を2001年度から激減させていたことが明らかになりました。98年度21億円の工事費が、99年度16億円、01年度2億円、02年度3億円、03年度には1億円にまで減らしています。これが地上設備の整備遅れにつながり、事故現場で速度超過が防げなかった大きな要因といわれています。地上設備の整備を並行して一気に進めていれば整備率は上がっているはずです。同社社長は記者会見で新型ATSの福知山線への導入が遅れたことについて「投資効果を考えて」と発言していますが、あらためて同社経営陣の安全軽視体質が問われます。