国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、医療・介護・年金・障害者
【政治経済キーワード】社会保険庁事務費
2005年2月11日
社会保険庁の事務費は、国民年金、厚生年金など公的年金は国が管理・運営するとの考えから、本則では他省庁の公的サービスと同様一般会計予算が充てられることとなっています。一方、年金の保険料は、その年度の年金給付の財源や将来の給付のための積立金への補充と、純粋に国民への年金給付にだけ利用する仕組みになっています。
昨年、国民年金・厚生年金等の制度改革が国会で論議された際、年金の保険料が職員の宿舎や公用車購入など年金給付以外に流用されていたことが国民の批判の的となりました。政府はこれに懲りず、年金保険料を社会保険庁の事務費に流用する仕組みを継続するための法律案を今国会に提出してきました。公債特例法にその内容が含まれています。
年金保険料を事務費に流用できる現在の仕組みは、97年の財政構造改革法(財革法)により作られました。国や地方自治体の負担を抑制するというのが導入の理由です。しかし、その分は年金保険料を財源に充てるのですから当然、年金財源の悪化の要因となります。99年に、経済状況の悪化から財革法の本体は凍結されましたが、年金保険料の事務費への流用は継続されました。03年に財革法による特例措置は終了したのですが、公債特例法により一年間の特例措置としてその仕組みは生き残りました。1998年度にこの仕組みが作られてから04年度末(予算ベース)までに、すでに約6500億円の年金保険料が流用されています。
年金保険料から社会保険庁の事務費への流用額
(厚労省資料)(億円)
1998年度
614
1999年度
665
2000年度
797
2001年度
1,101
2002年度
1,124
2003年度
1,079
2004年度
1,089
合計
6,469
法案を提出するにあたって、政府は職員宿舎や公用車等をその対象からはずして年金事業の運営に直接係るものに限定すると説明し、国民の批判をかわそうとしています。しかし、約150億円の予算が対象から外れただけで、保険料負担の事務費として923億円もの予算が計上されており、実態は何も変わっていません。将来の年金制度の維持・継続が重大な課題になっている今、年金財源を悪化させるこのような措置はきっぱりと廃止することが求められます。