国会での活動
【政治経済キーワード】首相補佐官
2004年10月8日
首相補佐官とは、「首相のブレーンとして内政や外交の重要政策について進言するポスト」(「毎日」96年11月25日)といわれていますが、内閣法は、「内閣総理大臣補佐官は、重要政策について首相に進言し…首相に意見を具申する」と定めています(同法19条)。
同補佐官制度は、過去の「行革」論議のなかでたびたび提言され、1966年には政府が国会に法案を提出しましたが、審議されずに廃案となりました。正式に内閣総理大臣補佐官(首相補佐官)として制度化されたのは、96年6月に成立した内閣法の改正にもとづきます。それ以前に、細川内閣で「首相特別補佐」、村山内閣で「首相補佐」という呼称で、与党の国会議員のなかから首相が私的に置いていましたが、法的根拠はありませんでした。
96年の制度化により、補佐官は「3人以内」まで置けることになり、当時の第2次橋本内閣で初めて2人の補佐官が起用されました(水野清・行政改革担当補佐官と岡本行夫・沖縄問題担当補佐官)。その後、2001年の「官邸機能強化」を機に、定員を5人に増設。これまでに起用された首相補佐官は、のべ12人にのぼります(注:「歴代内閣総理大臣補佐官一覧」参照)。
首相補佐官には、首相の指名で政治家や民間人から起用することができます。また、非常勤とすることもできます。先の第2次小泉改造内閣で小泉首相は、川口順子・前外相、山崎拓・前自民党副総裁を、それぞれ「外交」、「特命事項」担当として新たに補佐官に起用しました。山崎氏は、憲法改悪の急先鋒に立ち、防衛庁長官をも歴任した有力な“防衛族”です。川口氏は、2年7ヵ月にわたり外務大臣を務め、自衛隊のイラク派兵を推進した人物です。「安保・外交 官邸主導に」(「読売」9月28日付)といわれるように、今回の2人の補佐官起用は、憲法9条を改定し日本を戦争ができる国へとする危ない布石をうった起用といえます。
なお、山崎、川口両氏の新たな起用で現職の首相補佐官は4人となりました(ほかに、牧野徹・元建設事務次官=都市再生担当、渡辺好明・前農水事務次官=郵政民営化担当の両氏)。これらの配置からも小泉首相がどこに力を入れているか、その姿勢がうかがえます。
「歴代内閣総理大臣補佐官一覧」(12人)
水野清
元衆院議員、元総務庁長官(行政改革担当)
1996/11/12就任
第2次橋本内閣
岡本行夫
元外務省北米第一課長(沖縄担当)
1996/1112就任
第2次橋本内閣
町村信孝
衆院議員(教育改革担当)
2000/03/01就任
小渕内閣
中曽根弘文
参院議員(教育改革担当)
2000/07/18就任
第2次森内閣
牧野徹
元建設事務次官(都市再生担当=現職)
2001/09/03就任
第1次小泉内閣
熊代昭彦
衆院議員(行政改革)
2002/01/22就任
第1次小泉内閣
根本 匠
衆院議員(行政改革)
2002/10/02就任
第1次小泉内閣
岡本行夫
国際コンサルタント(イラク担当)
2003/04/15就任
第1次小泉内閣
佐藤剛男
衆院議員(行政改革)
2003/09/26就任
第1次小泉内閣
渡辺好明
前農水事務次官(郵政民営化=現職)
2004/04/26就任
第2次小泉内閣
川口順子
前外務大臣(外交=現職)
2004/09/27就任
第2次小泉内閣
山崎 拓
前自民党副総裁(特命事項=現職)
2004/09/27就任
第2次小泉内閣