国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】無認可保育所への消費税非課税
2004年9月10日
8月31日、各省庁より2005年度の予算概算要求と同時に税制改正要望が財務省に提出されました。今回の改正要望には、注目すべき項目がありました。厚生労働省の要望項目に含まれた無認可保育所に対する消費税の非課税措置です。これは、無認可保育所の関係者や保護者の方々のねばり強い運動により、初めて厚生労働省を動かしたという画期的な出来事です。
無認可保育所に消費税が課税されているということに意外な気がする方も多いと思います。これは、現在の消費税法が、医療、福祉、教育などの事業について非課税の措置を取っていること(消費税法第6条)から、当然、保育所も社会福祉事業として非課税だと考えるからではないでしょうか。確かに、認可保育所については非課税措置が取られているのですが、無認可保育所については、社会福祉事業に該当しないとの政府の見解からこれまでも消費税が課税されてきたのです。
この政府の見解は、恒常的な公立保育園の不足状態を補完している多くの無認可保育園の実態を無視したものでしかありません。例えば、政府の調査で、全国約7000ヶ所の認可外保育施設で18万人もの児童が保育されている(2003年3月末時点)ことが明らかになりましたが、これは公営の保育施設の不足を補完している実態を示すものです。また、政府も小泉内閣が掲げる「待機児童ゼロ作戦」において、無認可保育所で保育される児童は待機児童とみなさないと定義を変更し、無認可保育園を積極的に活用する方針をとっています。このように、あまりにも身勝手な政府の見解は許されません。
確かに、政府の規制緩和により営利を目的とする企業が保育所経営に参入し、ベビーホテルで悲惨な事件が起こるなど社会福祉事業といえない保育施設も存在しています。しかし、このような保育施設と子育て支援のため地域に貢献している無認可保育所とをいっしょにして消費税を課税する実態を放置することは、政府の怠慢でしかないでしょう。
いま、この問題に関心が集まるのは、昨年の消費税法の中小企業特例の改悪により、売上高が1000万円から3000万円の事業者にも消費税を課税することになったためです。これまで、ほとんどの無認可保育所は規模が小さく、消費税の免税業者であったため、消費税が課税されませんでしたが、今回の改悪により、かなりの無認可保育所が課税の対象となりました。関係者の話によりますと、保育児童数が約15〜50人の規模の無認可保育所が対象になるそうです。すでに、対象となる無認可保育所では、今年の4月より消費税分を保育料に上乗せすることになっています。
日本共産党は、国会の財務金融委員会や厚生労働委員会などで、何度も無認可保育所の消費税課税問題を取り上げ、非課税の対象にすることを要求してきました。今年の3月、参議院財政金融委員会において、大門実紀史議員に対して、厚生労働省が「財務省とよく相談し(社会福祉事業の対象の)基準について検討したい」と答えたことをきっかけとし、税制改正の具体化の協議が始まりました。これは、無認可保育所運動にかかわる多くの方や横浜市など地方議会で意見書を決議するなど地域の運動と日本共産党の地方議員の奮闘の成果であります。ただし、まだ改正が確定したわけではありません。来年度の改正で実現するため、この秋の取り組みが非常に重要となります。