国会での活動
【政治経済キーワード】日米地位協定
2004年8月27日
沖縄・宜野湾市での米軍ヘリコプター墜落事件を機に、あらためて日米地位協定の抜本的見直しが求められています。
日米地位協定とは、1960年、日米安保条約と合わせ日米間で結ばれた条約で、全部で28条からなります。その内容は、大きく3つに分けられます。
第1に、駐留する在日米軍に施設・区域を提供し、日本側が駐留経費の一部を負担する規定です。「思いやり予算」と呼ばれる日本人従業員の労務費や光熱水料などの日本側負担の細目は、別に日本の特別協定で定めています。
第2に、基地の維持と円滑な運営を行うため米軍の特権と行動の自由をさまざまな形で保障しています。たとえば、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」(第3条)とされ、基地内は完全に米軍の支配下におかれています。また、基地外でも鉄道・電話・電力・港湾・空港・道路等の自由使用、物品調達の際の特権が広範に保障されています。
第3に、米軍人やその家族らの身分上の取り決め・特典です。沖縄県で起こした米軍関係者の犯罪を適正に裁判できず、日本人被害者の人権が守られないなどはその典型です。
このように地位協定は、米軍の「治外法権」的な特権を保証したもので、日本側にとってきわめて屈辱的なものです。先日の沖縄でのヘリ墜落事件に関し、米軍は事故現場の周辺を一方的に立ち入り禁止にし、沖縄県警が求めた現場検証をも拒否しました。日本政府は、それらに抗議するどころか政府自身による事故原因の究明や事故処理をいっさい放棄してきました。その「根拠」にしているのが「合衆国軍隊…の財産の安全」の確保(協定23条などをうたった日米地位協定です。
また、地位協定にもとづいて結ばれた日米合意議事録で、日本政府が合衆国の軍隊の財産(墜落ヘリ)について、捜索や差し押え、検証などの権利を放棄していることなども、日本の警察の現場検証を拒否した根拠の1つにあげているのです。しかし、これらは財産保護の一般的な取り決めにすぎず、政府が毅然と対応すれば現場検証も実現可能です。
日本の主権と国民の安全を守る立場から、いまこそ屈辱的な日米地位協定の抜本的見直しが求められています。