国会での活動
【政治経済キーワード】裁判員制度
2004年5月28日
この制度は、重大な事件(殺人、強盗致死傷、強姦致死傷、厳重建造物等放火、傷害致死、危険運転致死等)において、20歳以上の成人から無作為で抽出した6人の裁判員と3人の裁判官によって(合議体)、裁判を行う制度のことです。5月21日、参院本会議で同制度の導入を定めた裁判員法案が可決され、5年後の2009年から施行されることになりました。日本共産党は、刑事裁判への国民参加を実現し、国民の常識を反映した刑事裁判を受ける権利を確立する制度として、賛成しました。
この間、裁判の判決が国民の常識とずいぶんかけ離れていたり、罪のない人が有罪になる冤罪(えんざい)も数多く発生してきました。この根本原因として、試験に合格して研修後、社会経験の少ないまま裁判官になるキャリア裁判官制度の存在が指摘されています。このような現行制度を変えるために提案されたのが、裁判員制度です。ヨーロッパ諸国では、一般の国民が裁判官と同じ資格で裁判に参加する参審員制度があります。また、アメリカなどでは、主として有罪無罪を決定する陪審員制度が導入されているなど、裁判への国民参加が常識となっています。今回の裁判員制度は、陪審制とは異なりますが、刑事裁判への国民参加が具体化されつつあるのは大きな意義があるものです。
ただ、今回成立した裁判員制度には、いくつかの不十分点・弱点があります。
1つは、日弁連をはじめ多くの団体が裁判員の数を裁判官の数の「少なくとも3倍以上」と主張したことに対し、「裁判員6人と裁判官3人」としていることです。
2つは、懲役刑をともなう広範な守秘義務が、裁判員に課せられるなど、幅広い国民参加という観点や裁判員制度の普及という点から見て、必要以上の制約があることです。
これらの点について、日本共産党は修正案を提案し、5月20日の参院法務委員会にはかりました。その主な内容は、(1)裁判官と裁判員で構成する合議体は、「裁判官1人、裁判員9人」にする(原案は「裁判官3人、裁判員6人」)。評決は、裁判官・裁判員の双方を含む3分の2以上の特別過半数とする(原案は、過半数)、死刑の場合は全員一致にする。(2)守秘義務違反に対する罰則から懲役刑をとる(原案は、「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」)などです。
さらに、裁判員に就任することによる不利益(休業の必要等)が予想されることから、裁判員休暇制度、裁判員就任延期制度、託児所など育児・介護の必要な人への手当、十分な補償制度などを施行までの間に整備することなども求められています。
日本共産党の修正案は、通りませんでした。しかし同制度は、主権者である国民が、「権利」として司法権に参加する道を開くものであり、また様々な生活体験と常識を刑事裁判に反映させることで公正な裁判への道を開くものとして、原案に賛成しました。