国会での活動
【政治経済キーワード】3党合意
2004年5月21日
自民、公明、民主3党の幹事長らが、5月6日に交わした年金制度「改革」に関する合意のことです。その内容は、おおむね次のとおりです。
(1)衆参の厚生労働委員会に小委員会を設置し、年金一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、2007年3月を目途に結論を得る。(2)これに合わせて04年から与野党の協議会を設置する。(3)5月11日の衆院本会議で、税、保険料の負担と給付のあり方を含めた見直しをするなどとした、政府案の修正を行う。
この3党合意にもとづき、5月11日、衆院本会議で年金改悪法案の採決が強行されました。3党だけの「合意」を、国会と他の政党に押しつける非民主的なやり方に対し、マスコミからも「談合」と指摘されるほど、国民そっちのけの暴挙です。この採決日程を受け入れた民主党の責任も重大です。
同時に、「合意」内容そのものが大きな問題点をかかえています。
1つは、政府の年金改悪案に盛り込まれている保険料の連続引き上げ、給付水準の一律15%削減という重大な改悪をなんら是正するものとなっていないことです。「合意」では、「社会保障制度全般の一体的見直し」をあげ、保険料についてもわざわざ1項目を設け、「必要に応じ検討を加えていく」と、「修正」をにおわせています。しかし、「修正」案では、保険料負担の「見直し」は明記されておらず、事実上、保険料の連続引き上げを容認するものとなっています。
2つは、「3党合意」にもとづき本会議で採決された「修正」案では、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め、一体的な見直しを行い」と明記されました。これは、年金だけでなく医療、介護を含めた社会保障制度全体の財源に消費税をあてることを意味しています。「3党合意」文書では、社会保障制度全般の見直しを、「07年3月を目途に結論を得る」としていますが、これは、与党のかかげた、07年度をめどに「社会保障給付全般に要する費用の見直し等を踏まえつつ…消費税を含む抜本的税制改革を実現する」(与党「税制大綱」、03年12月合意)との、消費税増税へのすじ道とみごとに一致しています。また、07年度から消費税を3%引き上げることを盛り込んだ民主党の年金「改革」案にも沿ったものです。
5月12日の参院本会議での論戦を皮切りに、修正部分を含む年金改悪法案審議の舞台が、参議院に移りました。日本共産党の小池晃参院議員の質疑で、政府の「2つのごまかし」(保険料の引き上げに上限を設ける、給付水準50%を確保)が暴露されました。各種世論調査でも、6割〜7割の人が、「法案を評価せず」(61%=NHK)、「成立は見送るべきだ」(68%=TBS)と、改悪法案に「ノー」の声を突きつけています。このような国民に背を向けた悪法は、廃案にすべきです。