国会での活動
国会での活動 − 国会質問、金融(銀行・保険・証券)
【03.06.04】「生命保険予定利率引き下げ」法案 国民・契約者の理解のない法案に道理はない 生保への不信感を増幅させる
2003年6月4日、「生命保険予定利率引き下げ法案」が審議されている財務金融委員会で、佐々木憲昭議員が質問に立ち、国民・契約者の理解が得られないことを認めながら法案をおし進める政府の対応を批判しました。
金融審議会は「社会的認知」が「制度導入の前提」
佐々木議員は、予定利率の引き下げを検討した金融審議会第2部会が2001年6月にまとめた「生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告」などのなかで、「契約条件の変更」について、「国民・保険契約者の理解の上、社会的な認知が十分に得られてこそ初めてその導入が可能となる」として、国民からの意見募集の結果、9割が反対意見だったため、「意見募集結果を踏まえれば、現時点では、制度導入の前提となる環境が整っていないと判断せざるを得ず」と結論づけていることを指摘。現在でも世論調査で賛成が5.8%にすぎないことを示し、「制度導入の前提となる環境が整っていないのは明らかだ。それなのに強引に導入しようとしている」と政府の対応を追及しました。
竹中金融担当大臣は、「この2年間で生命保険会社の財務基盤の拡充など社会的認知の前提となるべき問題について前進があった」、などと述べましたが、金融審議会が「制度導入の前提」としていた「社会的認知」が得られた材料を示すことは一切できず、「何をもって社会的認知と見るかは難しい」と答弁しました。
佐々木議員は、「社会的認知を得られていない証明をしただけだ」と述べ、政府が国民の声を無視しているもとでは、財務金融委員会が国民の意見を聞くべきだとして、法案に対する公聴会を開くよう委員長に要求しました。
また佐々木議員は、竹中金融相が、5月12日の金融審議会第2部会で法案化が了解されたと答弁したことを受け、反対意見が多数だったのではないかとして、審議会の議事録を、法案審議の資料として提出するよう求めました。
生保会社の経営難は政府の経済政策がもたらした
次に、「生保会社の経営難の原因はどこにあるのか」と述べた佐々木議員は、金融庁の資料に基づき、生命保険会社の損益状況を踏まえて、株価の下落が生保会社の経営に打撃を与えている実態を明らかにしました。
生保会社の本源的利益と言われている費差損益、死差損益、利差損益について2001年度の生保会社全体の統計数字をみると、低金利によって利差益は1兆5198億円の損失が出ていますが、費差益は7898億円、死差益は2兆7067億円にのぼっており、結果として1兆9767億円利益が出ています。この足を引っ張っているのが、株価の下落によって生まれた有価証券の含み損です。
佐々木議員は、生命保険会社の経営難は、内部要因というより、政府の経済政策がもたらしたものだと強調し、「経営難に追い込んだのは政府ではないか」と竹中金融相の責任を追及しました。
竹中大臣が、「株の下落で生保が厳しいというのは事実だ」と認めながら、株の下落は世界的な傾向だと開き直ったため、佐々木議員は、「経済を悪くしておいてその自覚がない」と厳しく批判しました。
さらに佐々木議員は、主要保険会社の保険料収入が5年連続で減少している実態を示し、その理由として、国民の所得が減り保険料を払う余力が減っていること、生保会社が約束を守ってくれるのかという不信感があることを指摘。「利率引き下げの法案を議論していること自体、生保業界の信用不安を増幅させている」と述べ、「国民の所得を増やす政策と、契約はしっかり守るという信頼感がないと保険は成り立たない。この点で、政府の政策はまったく逆行している」と主張しました。