国会での活動
国会での活動 − 国会質問、金融(銀行・保険・証券)、雇用・労働
【03.04.18】武富士で過剰貸付・違法回収が続発 過剰ノルマで社員を追い込み
2003年4月18日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、貸金業界で最大手の武富士が、社員に過剰なノルマを課して、過剰融資や違法な取り立てに追い込んでいる実態を明らかにしました。
無収入の人にも貸し付け、返せないと家族からも強引な取り立て
佐々木議員は、年収300万円の人に100万円も貸し付けたり、無収入の人に70万円貸し付けるなど、年収の10%を貸付の上限と定めた金融庁の「事務ガイドライン」に違反する貸付を武富士が行っていることを紹介。さらに、過剰貸付によって返済できなくなった債務者に対し、脅迫行為などの強引な取り立てをしたり、本来支払義務のない家族にも請求している事例を示し、貸金業規制法に違反するとして、金融庁の厳正な対処を求めました。
金融庁の五味監督局長は、「事実関係を確認し、適切な措置をとる必要がある」と答弁しました。
さらに佐々木議員は、武富士が違法行為を会社ぐるみで組織的にやっている証拠として、「営業統轄本部」が第三者からの取り立てを各支店宛に指示した「特別連絡」文書を示し、金融庁として調査し、是正するよう求めました。五味監督局長は、調査することを約束しました。
違法行為の背景に過大なノルマと異常な社員管理
次に、佐々木議員は、「なぜ、このような異常なことが起こっているのか」と問題提起し、「武富士が従業員にたいして膨大なノルマを課し、その達成をはかろうとして無理に無理を重ねるからだ」と武富士の異常な社員に対する締めつけの実態を暴露しました。
武富士は、貸付残高で毎年、対前年比10%増をノルマとして掲げ、平均して従業員が5人程度しかいない支店で貸出残高を毎月約3000万円増やさなければならない程の過大な貸出ノルマを課しています。「だから、違法な貸付や回収に走らざるをえないのだ」との佐々木議員の指摘に、竹中金融担当大臣も、「やはりいろいろな問題が出てくる」「ひとつの節度の中で中長期的な発展を目指してやっていく必要がある」と述べざるを得ませんでした。
続いて佐々木議員は、武富士本社が各支店に対してオンラインのパソコンを通じて次々と指示を出し、ノルマ達成に向けて締め上げている実態を、コンピューター画面の写真を示して明らかにしました。そこでは、「GW暦どうりは中締め達成が必須条件」(中締めノルマを達成しないとゴールデンウイークは休めない)、「3〜16 3回転即実施せよ」(返済が3日から16日遅れている債務者全員に今から3回督促の電話をせよという指示)、「本日85%未達は研修実施予定!21:00〜」(返済期日から10日から16日遅れの債権の回収率を85%とする目標が未達成の場合は、21時から研修を実施する)、「土曜出社は遅れの取り戻し!」(ノルマ達成の遅れの取り戻しのために土曜出社せよという意味)などの指示が、矢継ぎばやに出されています。このような締め付けのもとで、社員は、ノルマ達成のために違法行為に走りらざるを得なくなっているのです。
さらに佐々木議員は、武富士が社員に顧客の債務の肩代わりをさせていることを同社の「債務保証書」のひな型を示し、「長時間、厳しい尋問をされ、無理やり書かされた」という元社員の証言も紹介して、本人の意志に反して無理やり債務保証をさせるというのは違法行為にあたるのではないかと法務省の見解をただしました。
法務省の房村民事局長は、強迫による保証契約は民法96条1項違反として契約取り消しが可能であること、さらに自由意思を失わせたもとでの契約は無効であること、また従業員に対する優越的地位のもとで契約締結を強要し過酷な負担を強いた場合は、公序良俗違反で無効となると答弁しました。また樋渡刑事局長は、一般論としては、恐喝罪、強要罪、監禁罪に触れることを示しました。
あわせて佐々木議員は、武富士が、従業員の家族にまで連帯保証を求めた「連帯保証書記入のお願い」という文書を示し、このような武富士の手法に対する竹中金融担当大臣の見解を問いました。竹中大臣は、「常識的に考えて、強要してしかも債権債務関係を確立させるというようなことはあってはならない」と述べました。
佐々木議員は、「武富士の過剰なノルマ、社員に対する異常な締め付け体制が、違法な貸付・回収の原因になっている。ここを改めなければ、武富士の被害はなくならない」と強調し、金融庁として、実態を厳正に調査し、是正の指導をするよう求めました。答弁に立った竹中金融相は、「いま立入検査を終了したところであり、今後しっかりと事務的に最善の努力をしていきたい」と述べました。