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国会での活動

国会での活動 − 政治経済キーワード財政(予算・公共事業)

【政治経済キーワード】国債発行30兆円枠

2002年1月18日


 「国債30兆円枠」は小泉首相が昨年4月の自民党総裁選で掲げた公約でした。首相としてはじめて組んだ昨年の第1次補正予算や来年度予算案では、「30兆円枠内」の発行にとどめています。

 しかし、こうした「30兆円枠内」の背景には、さまざまな“手品”や帳尻合わせ、ごまかしの手法があることを見なければなりません。

 1次補正では、総額3兆円弱の予算のなかで、新たに1兆7000億円近い国債を追加発行し、当初予算と合わせ「30兆円枠」いっぱいとなりました。そのために新たな財源として、公共事業費予備費(3000億)や、昨年の剰余金(2300億円)を、特例を設けてまであてるなどの苦肉の策を講じています。

 歳出規模2兆5000億円、その多くを公共事業にあてる2次補正予算案では、自ら決めた「30兆円枠」の制約があるため、財源として新たにNTT株の売却で得た収入を活用するという奇策をとっています。本来、NTT株の売却収入は国民の財産であり、国債や借入金を返す財源の「国債整理基金」という特別会計に入るよう法律で定められていますが、政府はすでに特例法を設けてNTT株の収入を一時的に公共事業に使えるようにしています。今回はこの将来の借金返済に備えた“貯金”を取り崩し、公共事業に使おうというものです。

 きわめつけは2002年度予算案です。小泉内閣は、「国債新規発行を30兆円に抑えた」といっていますが、その最大の“功労者”が“隠れ借金”といわれるものです。総額4兆円にもなります。

 最も大きいのが、交付税特別会計の借入金(約3.6兆円)です。地方自治体の財源として国税(所得税・法人税・消費税など)の一定割合を地方に配分するのが地方交付税制度ですが、国の一般会計からいったん交付税特別会計に繰り入れて配分します。この一般会計からの繰り入れを低く抑え、不足分を交付税特会が民間銀行などから借金して穴埋めしています。この借金した分を将来、国と地方が半分ずつ返済する仕組みとなっています。

 来年度予算案では、これらの仕組みを「活用」して財源にあてようとするものですが、これは明らかに将来国民の負担になる借金=国債と何ら変わりはありません。

 ほかに、外国為替特別会計からの受け入れ金の特例(1500億円)や「一般会計承継債務」といわれる借金繰り延べ策などをあてようとしています。

 このように小泉内閣の「公約」とした「国債発行30兆円枠」は、さまざまな矛盾とゆきづまりに直面しています。そして何よりも「30兆円枠」に抑えるために歳出削減の名のもとに社会保障や地方自治体への交付税交付金、教育、中小企業予算など、国民の暮らし、営業にとってかけがえのない予算を削減しようとしているのです。

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