国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】連結納税制度の創設
2001年12月28日
政府は、2002年度税制改正の骨格を固め、連結納税制度を2002年度当初から導入することを決めました。一時、財務省主税局は「事務作業が複雑で膨大」との理由から通常国会への法案提出を見送り、制度導入を実質1年先送りせざるを得ないと説明していましたが、財界と自民党の圧力に押し切られたようです。
連結納税制度の創設について、政府は「企業の組織再編や、わが国企業の国際競争力の維持、強化と経済構造改革に資することになる」(平成13年12月の政府税調「答申」)としていますが、財界の「長年の悲願」を実現するものといえましょう。
連結納税制度は、親会社と100%子会社の所得(損益)を通算(合算)して法人税の課税所得を算出しますので、赤字法人を抱える企業グループは法人税が軽減されます。
例えば、会社に100億円の黒字部門と、40億円の赤字部門がある場合、課税所得は60億円になり、法人税額は基本税率が30%ですから18億円になります。しかし、この赤字部門を子会社として切り離しますと、現行法ではこの子会社には法人税は課税されませんが、親会社には100億円×30%で法人税が30億円になり、グループ全体として法人税額が12億円増え、分社化したメリットがなくなります。この場合連結納税制度を導入しますと、法人税額は18億円のままです。
ここに、会社の分割・合併等の企業組織再編成をすすめてきた財界が連結納税制度の早期導入を強く求めてきた理由があるわけです。
財務省主税局の試算によりますと、連結納税制度の創設によって8,000億円程度の減収額が生じます。この穴埋めのため、
- 連結納税を選択した企業の法人税率に対して2年間2%の付加税を課して1,000億円。
- 子会社の連結前からの繰越欠損金の持ち込み制限などで2,500億円。
- 退職給与引当金の廃止など課税ベースの拡大などで4,000億円の増収を図ること。
としています。
しかし、退職給与引当金の廃止は、連結納税を選択しようもない企業にもおよぶもので、中小企業や百貨店、ホテルなど流通・サービス業界には負担増を強いることになります。
連結納税制度の創設は、来年度の税制改正法案審議の重要な焦点になります。