奮戦記
【15.03.25】安倍内閣は「賃上げで好循環を実現」「4月には実質賃金はプラスになる」などといっていますが、実態はどうでしょうか
安倍内閣は、「賃上げで好循環を実現」「4月には実質賃金はプラスになる」などといっていますが、実態はどうでしょうか。
各年の実質賃金指数(2010年=100)を見ると、安倍内閣が発足した直後の2013年(年平均)は98.9で、前年比マイナスになっています。2014年は96.4でした。毎年下がり続けているのです。<赤い棒グラフ参照>
月ごとの数字としては、2015年1月の実質賃金指数(速報)がいちばん新しいものです。それは82.9となっています。その1年前の2013年1月の数値は85.7です。このように、安倍内閣になってから実質賃金は連続して低下し続けているのです。<青い棒グラフ参照>(対前年比では連続19ヵ月マイナスです)。
問題は、対前年比だけではありません。賃金が、この間どれだけ落ち込んだかが重要です。たとえば、1月をとってみると、2011年1月の86.5から、2015年1月の82.9へと3.6ポイントも落ち込んでいます。2013年1月の85.7と比べると2.8ポイントの低下です。
では、それを取り戻すのに、何%の賃上げが必要でしょうか。2015年1月の賃金を、2年前の安倍内閣成立直後の2013年1月の水準まで戻そうとすると、(2.8÷82.9×100)3.37%の賃金引き上げが必要なのです。すなわち、賃金が月20万円の労働者は6740円、月30万円の労働者は1万110円の賃上げが必要となります。
アベノミクスで、低下した賃金分を取り戻すだけでも、これほど抜本的な賃上げが必要になるのですから、ベースアップが4000円や5000円上がっても“焼け石に水”です。ましてや賃金上げもままならない中小企業と労働者にとっては、生活破壊が続いているのです。
3月20日付の「日本経済新聞」は、こう書いています。「14年の1人当たりの名目賃金の水準は91年と同程度、実質賃金の水準は87年以来の低さだ。大げさに言えば、日本人は貧しくなった」と。
政府のPKO(プライス・キーピング・オペレーション=株価維持政策)で「株価が上がった上がった」と大騒ぎしてますが、足下の家計を中心とする内需は、冷え込んでいるのです。
いまこそ、家計を応援する基本に立ち返ることこそ、求められてるのではないでしょうか。