奮戦記
【15.01.09】工藤晃著『今日の世界資本主義と「資本論」の視点』(本の泉社)を読みました
工藤晃著『今日の世界資本主義と「資本論」の視点』(本の泉社)を読みました。この本は、2014年12月に刊行されたものです。
これまでに積み上げられた研究を体系的かつコンパクトに整理・紹介しつつ、新しい材料と視点が豊富に提示されており、たいへん勉強になりました。
工藤さんは「はじめに」のところで、このように述べています。
――「いま全世界的に大きな変動期に入っている。20世紀末から21世紀に入って資本主義世界に実に大きな変動があらわれている。
今日の全世界的な大きな変動は、多面的な側面をもって進行している。このような大きな変動を総体としてどのように把握するか、それは今日、日本の革新勢力にとって何をなすべきかを明確にするための前提になっていると考える。
そのために、マルクスの『資本論』の視点を中心として今日の世界資本主義の現状分析のためにいくつかの視点を探っていかなければならない。」
目次は以下の通りです。
第1章 マルクスが指摘した信用に内在する二面的性格
第2章 マルクスは資本主義的生産と信用制度との関連には二つの問題があるという
第3章 グローバリゼーションの重要な指標
――“トランスナショナリティ・インデックス”
第4章 マルクスの資本循環論と今日の世界資本主義
第5章 グローバリゼーションと金融資本の肥大化で分断され流動化する労働者
第6章 「産業資本家の創世記」(マルクス)と今日の民族問題
第7章 『現代帝国主義と日米関係』への追記
工藤さんは、第3章と第5章のところで、私の日本経団連分析(『経済』2014年10月号、『変貌する財界』2007年)を引用されています。