奮戦記
【14.1105】サイバーセキュリティ基本法案に対して反対討論
内閣委員会で、私がサイバーセキュリティ基本法案に対して反対討論をおこなった内容は、以下の通りです。
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私は、日本共産党を代表して、サイバーセキュリティ基本法案に対して反対の討論を行います。
本法案は、サイバーセキュリティを軍事・安全保障に密接に結び付けるものであります。
法案は、目的として「我が国の安全保障」を明記し、新設するサイバーセキュリティ戦略本部が、サイバーセキュリティ戦略案を作成するさいに、国家安全保障会議(NSC)の意見を聞かなければならないとしています。
政府が昨年12月に決定した「国家安全保障戦略」は、アメリカとのサイバー防衛協力の推進を掲げ、先日公表された日米ガイドライン見直しの中間報告でも、そのことが位置づけられています。
アメリカは、サイバー空間を陸・海・空・宇宙に次ぐ「第5の戦場」に位置づけ、攻撃と防御の両面から体制づくりをすすめています。そして、サイバー空間での戦いに対して、軍事力の行使を含むあらゆる手段をとる可能性を留保すると明言しています。
アメリカは、この戦略の一環として、同盟国も含む各国の首脳指導者や全世界の市民を盗聴や監視の対象としていることが、米国国家安全保障局‐NSA元職員の暴露によって明らかになりした。世界中で、外交問題にも発展した、アメリカ政府によるサイバー空間を利用した無法の諜報活動に対して、安倍内閣は、一言の抗議すらしなかったのであります。
法案の提案者は、本法案について「有事を想定した日ごろの対応というところに集中・特化して国家機能を強化していく」、そうした国づくりのための法案の中核の一つと答弁しました。
さらに、「サイバー対策が真にできる国は、…自らサイバー攻撃を行うことができる能力を持った国である」との認識を示し、「そういったところとも緊密な連携をとっていくことが必要である」と、日米の連携を強調しました。
そのため、サイバーセキュリティ戦略は、日米軍事同盟強化の一翼を担うことになるのであり、きわめて重大です。
法案は、サイバーセキュリティ戦略本部が、安全保障に係る重要事項に関して、NSCと緊密な連携を図るとしています。提案者は、NSCとの連携について、外国政府等が関与したサイバー攻撃の場合が考えられると答弁しました。しかし戦略本部には、そのような関与の分析や判断ができないことは審議を通じて明らかとなりました。一体どのような連携を図るのか、まったく不明瞭なままであります。
現在、インターネットバンキングの機能を悪用し、他人の口座から不正に送金する犯罪など、サイバー空間を悪用した国民の被害が広がっています。
一部の銀行では不正送金に対応するソフトを無料で配布するなどの対応がとられているようですが、安心・安全なネット空間をつくるためには、国民個人ではなく、事業者の側にどういう責任を持たせるかなど大きな課題が山積しています。しかし、本法案からは、そのような問題意識がまったく感じられません。
本法案は、国民のためのサイバー空間の安心・安全から出発するのではなく、有事を想定した国家機能強化のため法案になっているのであります。
そもそも、国家安全保障や日米軍事同盟に密接に関わる法案でありながら、自民・公明・民主・維新・みんな・生活の各党が起案した議員立法として提出されていることが問題です。
政府が責任を持たず、内閣官房・防衛・外務などの関係大臣からの責任ある答弁もないまま、成立させようとしていることは到底許されません。衆参あわせてわずか数時間の審議で採決するなど言語道断であります。
以上で、反対討論を終わります。