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奮戦記

【14.08.17】大企業減税の財源をどこから持ってくるのか

   今年の「骨太方針」(「経済財政運営と改革の基本方針2014」6月24日に閣議決定)には、現在、国・地方あわせて約35%の法人税実効税率を「20%台まで引き下げることを目指す。この引下げは、来年度から開始する」と書き込まれました。これは、安倍総理自身が指示して書き込ませたものです。

 今年1月22日にスイス・ダボスで開かれた国際会議で、安倍総理は「本年、さらなる法人税改革に着手する」と宣言しました。
「骨太方針」にこれを盛り込ませるため、安倍総理は6月3日、総理官邸に党税調の幹部を呼びつけ「法人税率の引き下げを国際公約した。来年度から下げてもらいたい」と指示したそうです(「朝日」7月22日付)。
 財界の意を受け、総理が勝手に「国際公約」し、それをテコに大企業向け減税を強行するという強引な手法が現れています。

 安倍総理のダボス発言を受けて、3月に政府税調内に設置された「法人課税ディスカッショングループ」が、6月27日に提出した報告書「法人税の改革について」には、こう書かれています。――「本年1月、安倍総理大臣はダボス会議において、『法人にかかる税金の体系も、国際相場に照らして競争的なものにしなければなりません』と述べられた。今般、政府税制調査会においては、この総理の発言を端緒として国・地方の法人税の改革に着手した」と。

 法人税実効税率を目標通り10%下げれば、年間5兆円もの財源が必要となります。そんな莫大な財源を、いったいどこから持ってくるというのでしょうか。
 重大なのは、安倍内閣がねらってているのが、中小企業への新たな増税、外形標準課税の拡大だということです。

 報告書では、法人税減税の「恒久財源を用意することは鉄則である」と述べながら、外形標準課税について「資本金1億円以下の法人についても付加価値割を導入することが望ましい」「資本割を付加価値割に振り返ることが望ましい」と書かれています。

 大企業中心の黒字企業への「法人税率の引き下げは避けて通れない課題」だから、その財源として「外形標準課税」を拡大し、赤字の中小企業からも徴収しようというのです。じつに厚かましいと言わなければなりません。

   外形標準課税とは、事業所の床面積、従業員数、資本金、付加価値など外観で判断できる基準で税額を決める税金です。黒字・赤字には関係なく課税されます。
 「付加価値割」は、「報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益」で計算され、「資本割」は、「資本金+資本積立金額」で計算されます。

 いま外形標準課税は、資本金1億円超の中堅・大企業に課税されていますが、安倍内閣は、これを資本金1億円以下の中小法人にも拡大し、しかも税率を引き上げようとしているのです。そのうえ、課税対象を「資本割」から「付加価値割」にシフトしようとしていますから、労働者への依存度の高い「労働集約型」の業種が多い中小企業にとっては死活問題となってきます。

 いま、中小企業にとっては、4月からの消費税率8%への大増税が大きな負担となっており、転嫁できないまま身銭を切って税を納めなければならないのに、さらに外形標準課税の負担が加われば、二重、三重の営業破壊税となります。

 大企業は、大規模な黒字をあげたうえ莫大な内部留保をため込んでいます。その大企業減税の財源づくりのために、赤字の中小企業からも搾り取る方向で外形標準課税の対象を拡大する。――大企業には減税、個人と中小企業にだけはずっしりと重い増税。これが、安倍内閣のやり方です。貧困と格差は、拡大するばかりではありませんか。
 こんな理不尽なやり方は、絶対に許すことができません。

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