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奮戦記

【14.06.11】情報監視審査会の設置は重大事態をまねく

   議院運営委員会で、秘密保護法にもとづいて国会内に設置する情報監視審査会設置法案(与党提出の国会法改正案、衆議院規則改正案、衆議院情報監視審査会規程案)について質疑が行われました。
 この法案は、戦後初めて常設の秘密会を国会のなかにつくるという極めて重大なものです。我々は、秘密保護法の廃止を求めており、秘密保護法によってつくられるこの情報監視審査会にも反対です。
 今日の質疑で、この情報監視審査会の設置が重大事態をまねくことが判明しました。

情報を出すかどうかは政府の意志で決まる

   情報監視審査会は、政府の特定秘密の運用を監視し、運用改善を「勧告する」としているますが、問題は、特定秘密を提出させる強制力はあるのかというかということです。
 大臣が、「安全保障に支障を及ぼすおそれ」があるとして拒否すれば、提出を強制できません。結局、提出するかどうかは「政府の意志」次第ということになります。答弁で、この点が明らかとなりました。
 いったい、何のための審査会かということになります。

秘密を漏らした議員は刑罰や懲罰の対象となる

   情報監視審査会の秘密会で開示された「特定秘密」を知った議員が、国会の外で漏らしたら秘密保護法で刑罰に処されます。
 また、国会の委員会質問で、その秘密情報を使って質問したばあい、懲罰委員会に付されて懲罰の対象とされ、最高は国会からの除名処分までされる仕組みになっています。
 この点も、提案者が「その通り」と認めました。とんでもないことです。
 憲法51条では、議員は国会内の質問・発言について責任を問わないとして、議員の院内での発言の自由を保障しています。ところが、この法案はこれを二重、三重に制約するものとなっているのです。
 これでは、政府を監視するどころか、「国会と議員を監視する仕組み」をつくることになります。

政府監視で「無力な国会」をいっそう無力なものにしてしまう

   そもそも国会法104条や議院証言法では、国会の資料提出要求に対して、政府・行政機関の提出義務を明記しています。これは、憲法62条の保障する国政調査権に基づくものです。
 政府が提出を拒否できるのは「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」旨の「内閣声明」を出したときだけです。
 これまで衆議院において、そのような事例はあるかときいたところ、提案者は「戦後1度だけある」と答えました。その程度なのです。

 委員会として政府に資料要求することを、多数を占める与党が阻んできたのが、これまでの実態だったからです。たとえば日米安保に関するさまざまな取り決め、合同委員会議事録などを議員が質問で提出するよう求めても、理事会で与党が抵抗してフタをしてきました。
 そんな状態ですから、国会が特定秘密を要求することは、今後もほとんどないでしょう。このような秘密会体制をつくれば、ハードルのうえにハードルを重ねることになり、無力な国会がいっそう無力になるだけです。

 こんな法案は廃案しかありません。特定秘密保護法は廃止すべきです。いま、国会がなすべきことは、政府をきちんと監視する機能を十分発揮し、国政調査権にもとづく情報公開を政府に厳しく迫っていく体制づくりではないでしょうか。

 

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