アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

奮戦記

【14.03.25】函館商業高校の卒業生にメッセージ

 私が学んだ函館商業高校の卒業生に送ったメッセージです。

   北海道函館商業高等学校3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 今年卒業する皆さんは、新66期生ですね。私は新16期生ですから、50年も前に卒業したのです。時の流れは早いものです。

 振り返ると、高校時代の3年間は楽しい思い出がいっぱいあります。私は、電車通学の高校生でした。上磯駅から五稜郭駅まで国鉄に約20分乗り、五稜郭駅から市電で五稜郭公園前まで乗り商業高校まで歩きました。いまは、五稜郭駅からの市電はないようですね。
 当時の高校は、まだ木造の校舎でした。いまは、五稜郭公園の近くに校門のモニュメントがあります。

 入学するとすぐのことです。部活の勧誘にきた先輩部員が、黒板に不思議な速記文字をすらすらと書いたことに大いに驚き、人が話すスピードで書くことができる技に、たいへん感心しました。それをきっかけに、速記部(中根式速記)に入りました。私は、連日のような訓練を経て、検定試験で特級に合格、全国大会にも参加しました。
 中根式速記の全国大会はいまも続いており、私は、ときどき大会に来賓として招かれ、ご挨拶をさせていただいております。

 函館といえば、小林多喜二の『蟹工船』が有名です。
小説は――「おい地獄さ行(え)ぐんだで!」 二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛(かたつむり)が背のびをしたように延びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。――こんな出だしが、印象的です。

 この小説は、数年前に若者の間でブームとなりました。若い人々は『蟹工船』を読んで、あの戦前の過酷な搾取が、現代の無権利な状態に共通するものがあると感じたようです。若者たちの鬱積(うっせき)したマグマのような怒りは、時代を超えて多喜二の精神と共鳴しあいました。

 いまは、かつてない規模で非正規の雇用が増加し、低賃金・労働強化のもとで苦しめられているからでしょう。ブラック企業などと呼ばれ、若者を使い捨てにするような企業も広がっています。
 皆さんは、これから社会に出て、厳しい荒波に揉まれることになるでしょう。そんなとき、函館商業高校の卒業生としての誇りを持ち、毅然とした人生を歩んでいただきたいと思います。私からも、心から熱いエールを送ります。
           
           2014年3月 新16期生 佐々木憲昭

Share (facebook)

このページの先頭にもどる