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奮戦記

【14.02.26】予算委・分科会で雇用促進住宅について質問

 2月26日、予算委員会・分科会で、雇用促進住宅について田村厚労大臣に質した内容は以下の通りです。…………

大切な役割を果たしている雇用促進住宅

   雇用促進住宅には、多くの方々が住んでおり生活の基盤としています。現在の総戸数は12万1492戸です。そのうち現に入居されている戸数は、5万6905戸です。入居者数は、一戸当たり2〜3人として10数万人です(2013年12月末現在)。全体として高齢化がすすんでいます。
 管理・運営は、現在、独立行政法人高齢者・障害・求職者雇用支援機構が当たっています。

 もともと、雇用促進住宅は、石炭から石油へという国のエネルギー政策の転換にともなう転職への支援のために建設されました。
 当初は、炭鉱離職者を中心に入居していたのですが、その後の制度改定などによって幅広く職と住居を求める人々に提供されるようになっています。とりわけ平成20年(2008年)以降は、リーマンショックや東日本大震災への対応として、多数の入居を認めるようになりました。

 たとえば、2008年のリーマンショックのとき、大手企業が派遣労働者を切り捨てる派遣切りがおこなわれ、多数の派遣労働者が職と同時に住居を失うという事態が発生しました。
 それに対応して、平成20年(2008年)12月12日、厚労省は「解雇等による住居喪失者のための雇用促進住宅の活用について」という文書を雇用・能力開発機構向けに出しました。

 そこには、こう書いています。――「生活基盤の根幹となる雇用と住居を同時に喪失するという極めて深刻な状況が生じている」「第一義的に住居を確保することが、喫緊の課題であることから、今般、貴機構の所有する雇用促進住宅を喫緊に、短期間の定期借家契約によって提供することにより、住居及び安定的な就労の機会の確保の支援を実施することとした」と。

 さらに、東日本大震災が発生した直後の2011年3月12日、「東北地方太平洋沖地震による被害に伴う雇用促進住宅の取り扱いについて」という文書を出しています。――「雇用促進住宅を、被災者の当面の住居の場として提供し、関係機関と連絡・連携を取りつつ、被災者の支援に全面的な協力を行うこととしたところである」と書いて、具体的な体制を指示しています。

 このように、雇用促進住宅は「駆け込み寺」のような大切な役割を果たしています。平成20年(2008年)から昨年末までの間に、雇用促進住宅への新規入居戸数は4万4962戸で、そのうち東日本大震災の被災者は7668戸、派遣切りにあった人の「緊急一時入居」は9860戸です。

 現に、10万人以上が住んでいるのだから、居住環境を整備し、安全で安心な住宅にしていく努力は当然だと思います。雨漏りや水漏れ、空き部室の割れた窓の修理、手すりのペンキ塗りなど、住宅のメンテナンスをおこなうこと、あるいは草刈りなどもきちんと責任を持ってやるのは、当たり前のことです。
 このことについては、きちんとおこなうという答弁がありました。

「廃止」などとんでもない

   ところが、雇用促進住宅の役割は終わったとか、廃止するという話がありますが、私は、とんでもないことだと思います。
 5年前、平成21年(2009年2月25日)に、私は、予算委員会で、当時の舛添厚労大臣に質問をしました。そのとき、大臣からはこういう答弁がありました。
 「一方で退去をすすめながら、片一方で困っている人を入れます。このふたつの方針の整合性はどうなのか。…いまのようなふたつの矛盾をどう解決するか、鋭意検討をすすめています」。「閣議決定の見直しということも含めて、すべて検討させていただきたい」と。

 廃止すると言っても、現に人が住んでいるのです。しかも、この5年間で、4万5000世帯もの人々を新たに受け入れています。現在そこで生活をしている10万人以上の方々に、どうして出て行けと言えるのでしょうか。

 住んでいる方々のなかに、たいへんな不安が広がっています。
 こんな声が寄せられています。
 三重県四日市市の住宅、男性の方は、「ようやく見つけたのが雇用促進住宅です。そこも追い出されると、どこに頼ればいいですか。私は低所得で住宅ローンも組めない年収ですが、市も県も助けてくれない。……国にまで放り出されたら、どこがいったい助けてくれるんですか。正社員ではないので、半年ごとの契約で65歳まで働かせてくれる保証もない。いま追い出されたら、死ぬしかない」。

 岐阜県恵那市の住宅の方からは、こんな声が寄せられています。
 「入居時、何も説明がなかった。たまたま普通契約であった。5年前に急に廃止の話があり、入居者の半数以上があわただしく退去してしまった。空き室ばかりで無用心で困る。いまは退去の要請が延期されているが、いつ退去を求められるのか不安でたまらない」。
 これが多くの人の気持ちではないでしょうか。

 「廃止」の方針はどこから出てきたのか。もともと小泉内閣時代の「構造改革」で、「官から民へ」という規制緩和の流れのなかで出てきたのです。
 小泉内閣の最初の段階では、まだ、「地方自治体への譲渡」が基本で、「住んでいる人は追い出さない」というのが基本でした。

 ところが、2005年12月、オリックスの宮内会長が議長を務めた規制改革・民間開放推進会議、ここが出した「規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申」で廃止を加速したのです。
 この答申では、30年かけ長期にわたって実行するということについては撤回し、従来やってきた地方公共団体への譲渡という方法に加え、更地(さらち)にすることを前提に、入居契約を解消し、速やかに跡地を民間等に一般競争入札で売却すると、非常に荒っぽい報告をおこなっています。

 この方向に沿って、2007年6月の閣議決定で、遅くとも平成33年(2021年)までにすべての処理を完了する、民間事業者のノウハウを活用し、売却を可能な限り前倒しできるようにするとしたのです。
 この廃止方針は、厚労省が主導したのではなく、規制改革会議からの提案だったのです。

「説明会と意向調査」の問題点

   いま各地で「説明会と意向調査」を実施していますが、そのやり方にも疑問の声が出されています。私は、説明会の持ち方、そこで配付されている資料を見て驚きました。
 説明会で配付された資料の表題を見ると、いちばん上に「雇用促進住宅の入居者付き民間売却について」と書いています。頭から民間に売却するという前提になっているのです。

 「民間売却・可」のばあいは、「売却後8年間は、現在の家賃水準が維持されます」という巧みな案内がありますが、売却後は民間に渡るのだから、なんの保障もありません。「民間売却・不可」のばあいは、「売却の手続きを行うには、皆様の概ね2/3以上の同意が必要」だから、「意向調査に協力をお願いしたい」と書いてあります。

 意向調査といいながら、まるで民間売却を進めるための調査になっていることはあきらかです。
 出席者からは、「こんなやり方があるか」と、疑問や怒りの声が多数出されています。「何で退去しなければならないのか。入ったときには何の説明もなかった。だったら代わりの所を探してくれ」「いつも相談なく進められている」と。

 この文書は事実かときいたところ、厚労省は認め、それは「支援機構」がつくったと答弁しました。

 そのうえ、説明の内容がひどい。岐阜県恵那市の雇用促進住宅では、こういう説明が行われています。
  「アンケートの結果を踏まえて…7月ごろから専門業者に交渉や販売広告を出す。今後1年間ほどかけて民間に働きかけていく。売れるかどうかはやってみなければ分からない」。「売れない場合は空戸(くうこ)にして平成33年には更地にして売却する。民間売却を了解されても売れない場合は退去してもらうことになる。…解体・更地などその手続きに1年くらいかかるので、その所要期間を差し引いて空戸にするために、平成33年以前に退去してもらう」と。

 この「説明」は、あまりにも乱暴です。私は「こんな言い方をするよう厚労省が指示しているのか、誰が、こんな説明をやれといっているのか」と聞きました。
 厚労大臣は「そのようなことを言えという指示はしていない」と答えました。

退去を求める「正当な事由」はない

   現に住んでいる人に退去を求めるには、いまの借地借家法でも「正当な事由」がなければなりません。
 現在の借地借家法では、「正当事由」は、‖濕隋借主が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、E效蓮Ψ物の利用状況、の退料の提供などを考慮して判断するとしています。ですから、「正当事由」がないと、土地・建物の賃貸借を終了することができないのです。
 「民間に売却したいから出ていけ」「売却でできるかどうか分からないが出ていけ」などというのは、「正当事由」にあたらないことは、誰が見てもはっきりしています。

 一方的に廃止を決められた住宅では、いまどういう事態になっているでしょうか。
 田村厚労大臣の地元三重県の坂部ケ丘住宅のばあいは、こうなっています。ここには、もともと5棟270戸あったのに、いまでは40戸に減っています。そのうち7戸は派遣切りにあった人が新たに住んでいます。
 なぜ、こうなったのでしょうか。「廃止」方針のもとで大勢の人が出て行かざるを得なくなったからです。その結果、何よりもコミュニティが破壊されたといいます。1棟は入居者がまったくいなくなったため、防犯上から窓側にいっせいに板塀(いたべい)を打ち付けています。
 別の棟では昨年、60代の男性が「孤独死」をしました。何日も新聞がたまっているので、配達の人が通報しました。
 私は大臣に、このような実態を知っているかとききました。大臣は「知らなかった」と答えました。

閣議決定を見直し、希望する人はすべて住めるようにすべきだ

   2年間の定期契約で入っている人は、こう言っています。――「1年後か半年後か、いつ契約が解消されるのか心配だ」。 「出て行けというのなら別の住居を保障してほしい。仕事もない、保証人もいない自分に新たに引っ越しせよといわれてもできない。死ぬまでここに住みたい」と。

 また他の人は、「毎年のように退去期限を先送りにされ、挙句の果てに期限が来たからといって、住民は強制的に追い出されるのか」。「いま住んでいるところを追い出されると、もう死ぬしかない」と訴えています。

 公営住宅に移ったらどうかという声もありますが、たいへん難しいのです。
 四日市市の市営住宅の場合、抽選の倍率は25倍から33倍。しかも数が極端に少なく、募集戸数が1戸というところに、20人も30人も殺到しているのです。
 しかも一人暮らしの高齢者は、市営・県営住宅に転居を希望しても、公営住宅法で入居が「2人以上」という規定があるため、対象になりません。
高齢者住宅の募集もありますが、倍率が10から20倍になっている。8回申し込みをしたが、全部はずれたという人もいるのです。

 私は、厚労大臣にききました。「どこにもいけない人はどうするのか。期限が来たら、電気、ガス、水道を止めて、家財道具を部屋から外に運び出し、住んでる人をたたき出すのか」「国がホームレスをつくるのか」と。
 厚労大臣は「そんなことはしない。丁寧に対応したい」と答えました。

 それなら、同じ条件で住める場所を居住者に保障するのが、国の責務ではないでしょうか。「廃止」の閣議決定そのものが形骸化し、実状に合わなくなっているのです。追い出しをやめて、希望する人には今後も住めるようにするべきです。

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