奮戦記
【13.12.31】たたかってこそ明日がある
私は、統計を示して「実質賃金が下がっている」「物価に賃金が追いついていない」と指摘しました。これに対して、一部で「経済成長時に賃金は遅行指標ということは分かっているはず」という反応が返ってきました。
これは、物価が上がればそのうち賃金が上がるだろうから、労働者はしばらくのあいだ我慢せよというに等しい言い分です。そもそも「物価が上がれば賃金が遅れて上がる」というのは「机上の空論」です。
第一。賃上げは、労働者のたたかいによって勝ち取ることなしに、自動的に上がるものではないからです。
たとえば、石油危機によって消費者物価が高騰した1973〜74年に大幅な賃上げを達成したことがありました。そのときは、ストライキを含む労働者のたたかいが大きく前進しました。労働者は、物価上昇によってそれまでの生活を維持することが困難になり、企業に対して賃上げを迫るたたかいを強めたことが、賃金の上昇を促したのです。
しかし、90年代の半ば以降、このようなたたかいは後退し、賃金は実質的に切り下げられてきたのです。
第二。今のように、非正規雇用が3〜4割を占めるほどに増えてしまうと、賃金を押し下げる構造的要因としてはたらき、それが壁となって賃金の引き上げを困難にしていることです。
いくら政府が、前代未聞の「賃上げ要請」を大企業におこなっても、他方で、労働法制の規制緩和を続けようとする限り、賃金を抜本的に引き上げる力にはならないでしょう。
「そのうち賃金も上がるだろう」とタカをくくっていると、物価上昇、消費税増税、社会保障切り捨てのもとで、生活がじわじわと厳しさを増してくることになります。
広範な国民の怒りと労働者のたたかい、労働法制の抜本的な改善、社会保障の充実があってこそ、暮らしを守ることができるのです。