奮戦記
【13.12.29】物価上昇に賃上げが追いつかない
アベノミクスのねらいのひとつは消費者物価を引き上げること(前年比2%上昇)。しかし、賃金がそれ以上上がらなければ、労働者の生活水準は低下します。
労働者が賃金として受け取る貨幣を名目賃金といいますが、その貨幣額で、実際にどれだけの生活物資やサービスを購入できるのかを表しているのが実質賃金です。名目賃金を物価水準で割って算出します。
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計」の実質賃金指数を見ると、今年に入って6月までは前年比で上昇傾向にあったのですが、7月以降はマイナスに落ち込んでいます(表参照)。
円安で輸入物価が上昇していますが、消費者物価の上昇に賃金が追いついていないことを示しています。
(年月) 指数 前年比 (2010年平均=100)
13年1月 85.7 0.4
2 83.5 ▲0.1
3 87.3 0.0
4 86.2 0.7
5 84.5 0.2
6 137.7 0.3
7 113.6 ▲1.0
8 85.2 ▲2.0
9 82.7 ▲1.5
10 83.3 ▲1.5
11(速報) 86.4 ▲1.4
※ 実質賃金は、名目賃金指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出。
アベノミクスには「物価が上昇すると、上がる前に買おうとする心理が働き、モノが売れて景気が良くなる」という発想があります。
しかし、可処分所得が減っているとき物価が上がれば「これから生活が厳しくなるから買い控えよう」という心理が働くのではないでしょうか。生活感がズレています。