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奮戦記

【13.12.22】安倍内閣のもとで「デフレ脱却」は可能か?

 安倍内閣は、来年度予算案編成に関連して、来年は「デフレ脱却」だと言っていますが、果たしてそうなるのでしょうか。

 まず、デフレとは何でしょうか。−−政府の「新たな成長戦略・日本再興戦略-JAPAN is BACK-」によれば、「将来への不安や所得減少から消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレを加速するという悪循環から抜け出せずにいた」と述べています。
 つまり、デフレは単に貨幣現象ではなく、その根本的な要因は「需要の低迷」にあったということです。

 ではなぜ、需要が低迷したのでしょうか。政府の白書を見ると。……
 『2012(平成24)年版 労働経済の分析』(労働経済白書、337ページ)では、こう書いています。−−「日本経済においては需要不足が続いているが、国内需要の大きな割合を占める家計消費を押し下げている最大の要因は所得の低下である。……それは主に非正規労働者の増加によるものであり、また、非正規労働者の増加が低所得者層の増加につながっている。」「労働者の所得の増加が消費の増加を通じて日本経済の活性化につながるという日本経済のマクロの好循環を取り戻すことが必要」。

 『労働経済白書 2010(H22)年版』(187ページ)でも、こう指摘してます。−−「非正規雇用増加の背景としては、相対的に賃金の低いものを活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かったことのほか、……労働者派遣事業の規制緩和が、こうした傾向を後押しした面があったものと考える」(同186ページ)」、「このような非正規雇用の増加は、正規雇用者、非正規雇用者を含めた雇用者の平均賃金を引き下げる方向に作用してきた」。

 じっさい、労働者全体の年間平均賃金は、ピークだった1997年の446万円から2012年の377万円へ約70万円下落していますが、この間に雇用全体に占める非正規雇用の割合は23.2%から35.2%へ1.5倍以上に増加しています。
 その一方で、大企業の内部留保は史上空前の270兆円に積み上がっているのです。日本の大企業は、多国籍企業化して世界に進出する一方、賃金を抑え込み内部留保を溜め込んできたのです。これが実態です。

 デフレ脱却のためには、「家計消費を押し下げ」「低所得者層の増加」につながっている「非正規労働者の増加」に歯止めをかけることが、何よりも重要だといういことは、誰が見ても明らかなのです。
 しかし安倍内閣は、派遣労働を無期限に使用できる労働者派遣法の改悪を検討したり、復興特別法人税の前倒し廃止を狙うなど、まったく逆の方向を向いた政策を実行しようとしています。そのうえ、消費税の大増税、医療・年金・介護など社会保障の連続改悪です。

 これでどうして「デフレ脱却」など、できるでしょうか。
 いま必要なのは、家計に軸足を移した抜本的対策に切り替えることです。  

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