奮戦記
【13.09.26】自民党内の「復興特別法人税1年前倒し廃止反対」論の限界(facebookより)
自民党の福島県選出国会議員が、復興特別法人税を1年前倒しして廃止することに反対する安倍総理あての要望書を提出したそうです。
要望書には「法人のみ1年前倒しで廃止するのでは、国民皆で支えようという『絆』の趣旨が踏みにじられる」と書かれており、同県選出の2人の大臣や政務官なども名前を連ねています。
この復興特別法人税というのは、どのようなものでしょうか。
「5%の法人税減税」を実施することを前提に、3年だけ付加するというものです。そのため、企業には「名目的な負担増」があるだけで、実質的にはまったく負担増がない仕組みなのです。
簡単に言えば、大企業にとって実質的に法人税負担増がないまま、「3年後から5%減税」としていたものを、1年早めて「2年後から減税する」というわけですから、大企業にとっては「丸儲け」になる代物なのです。
これで実質、年間約9,000億円もの大減税が行なわれるのです。
その一方、庶民はどうでしょう。
25年間の長期にわたって被災者も含めて増税が押しつけられるのです。――所得税は25年間(2013年1月から納税額に2.1%を上乗せ)、住民税は10年間(2012年6月から個人住民税に年間1,000円を上乗せ)。これで、あわせて約9兆円の負担増になります。そのうえ、消費税の大増税が襲ってきます。
この間、大企業は実に21兆円もの減税を受けるのです。
「連帯して負担を分かち合う」と言いながら、個人には「耐え難い負担」だけ、大企業には実質的負担増なく「減税」だけ。――こんなことは、誰も納得できるはずがありません。
自民党内部の「反乱」は国民の怒りを一部反映しているとはいえるでしょう。
しかし、法人税減税そのものは批判せず、1年前倒しだけを問題にしているという限界があります。しかも、消費税の大増税については、問題にさえしていない。――これは致命的な欠陥です。