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奮戦記

【13.09.06】品川正治さんの訃報に接して(facebookより)

 一貫して平和のために活動を続けてこられた経済同友会終身幹事・品川正治さんの訃報に接し、 悲しみに堪えません。

 私は、2008年6月4日に「革新・愛知の会“講演と音楽の夕べ”で」でご一緒になり、舞台の袖でお話をしたことがあります。
 品川さんの講演は、一言ひとことがずっしりとお腹に響く重みがありました。その講演で品川さんは、戦後の復員のとき「初めて憲法9条を読んで感動し仲間と抱き合って泣いた」と述べておられました。「戦争を起こすのも人間、やめるのも人間。これが私の戦後の座標軸だ」と話されていたのが印象的でした。

 私は、品川さんが著した本『戦争のほんとう』の書評を書いたことがあります。『戦争のほんとうの恐ろしさを知るーー財界人の証言』(新日本出版社)という本です。雑誌『経済』(2006年12月号)に書きました。
リンク【憲昭からの発信】書評――品川正治著『戦争のほんとうの恐ろしさを知る――財界人の直言』

 驚いたのは、その後、品川さんからご丁寧な礼状が届いたことです。凛とした美しい文字でお礼の言葉が書かれており、律儀な姿勢に感動しました。今も大切に保管しています。

 品川さんは、憲法の問題だけでなく、私たちに経済問題や経営者のあり方を問いかけました。例えば、リーマンショック後に「派遣切り」の嵐が吹き荒れたとき、2008年12月29日付「朝日新聞」に「耕論─雇用危機の姿」という特集が組まれました。そのなかで、品川さんがこう述べました。
 「非正規労働者を調整のための『物』と見なす風潮の横行に今年、労働者の危機感は高まった。小林多喜二の『蟹工船』が若い人たちの間で話題となり、『搾取』という古い言葉が議論に欠かせなくなった。労働者の危機感は現実となり、いまや『路頭に迷わせるな』というこれまた古い言葉が、切実さをもって復活している」。「経済も人間の目でとらえることができるか。経営者として私は自ら問うてきた」と。

 そのうえで品川氏は「経済は変質した。国際金融資本や多国籍企業の視線に、国家も国民も振り回されている」と述べています。「経営者は本来、資本家のためだけではなく、従業員や代理店などすべての利害関係者のために仕事をするものだ。いま、職と家を失った非正規労働者の受け皿を、他の企業や自治体が用意する動きが急速に広がっている。彼らは人間の目で、人間を見ている。あなたには見えますか」と。
 この呼びかけは、残された私たちを含むすべての人々にたいして向けられているように思うのです。――品川正治さん、安らかにお眠りください。

 

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