奮戦記
【13.06.21】与党が「0増5減」案を「再議決」の構えだが…(facebookより)
「0増5減」法案は、去る4月16日、衆院議院運営委員会で、野党が反対するなか、与党の一方的な採決によって強引に倫選特に付託されました。
その後、倫選特において、全野党の反対を押し切って、与党が単独で委員会を開会したうえ、法案質疑を強行、質疑終局・採決まで強行したのです。円満な運営を踏みにじったものであり、その与党の横暴に私たちは強く抗議しました。
もともと選挙制度は、全ての政党にかかわるものであり、議会制度の土台です。その改革は、特定の政党だけで強行すべきものではありません。
昨年8月、与党民主党が、各党協議会を一方的に打ち切って、選挙制度法案を衆議院に提出、単独採決を強行したとき、自民党を含む11の野党がこぞって議院運営委員長に申し入れた文書には、「民主主義の根幹ともいえる選挙制度について、与党の多数をもって強行採決することは憲政史上類を見ない暴挙であり、断じて許すことはできない」と指摘していたのです。
その後、参議院へ送られたにもかかわらず、60日のあいだ審議も議決もしない状況が生まれました。そのため与党は、6月24日の衆議院本会議で「否決したと見なす」議決をおこなったうえ「再議決」しようとしています。
当時の自民党石原幹事長は、「戦前戦後を通じ、与党単独で選挙制度を変えたことはない、こんなことを許したら日本の民主主義が破壊される」と言いました。与党は、その批判がそのまま自分に向いていることを自覚しているのでしょうか。
現行の小選挙区制は、300の選挙区で、1位になった候補者が当選する仕組みです。最近3回の選挙結果を見ると、第1党にわずか4割台の得票率で7割から8割の議席を与え、民意を切り捨てる制度であることは明らかです。
日本共産党は、19年前にこの制度が提案されたとき、これは「選挙制度の基本である民意の議席への公正な反映をゆがめ、比較第一党に虚構の多数を与える根本的問題がある」として、強く反対しました。
当時の小選挙区の区割り規定は、2倍以上の格差を容認していたのです。私たちは、この制度が、投票価値の平等に反する違憲立法であり、出発点から根本的に問題がある制度だと指摘したのです。
さらに重大なのは、「0増5減」法案を通して小選挙区を維持、固定化した上で、比例定数をさらに削減するという動きがあることです。
しかし、日本の衆議院議員の定数は、国際的に見ても、歴史的に見ても、決して多くありません。議員1人当たりの人口で見ると、連邦制であるアメリカは別として、主要先進国では、おおむね10万人に1人を基準に議員を選んでいます。これが、スタンダードなのです。
日本の国会議員数は、国際的に見て決して多くはありません。人口あたりでドイツの2分の1、イギリスやイタリアの3分1にすぎないのです。
日本の歴史を振り返っても、1925年、男子普通選挙制度が始まったときには、人口12万8千人に1人でした。ところが現在では、人口26万7千人に1人の議員です。
したがって、国際的にも歴史的にも、日本の議員数は、むしろ少ない方であり、定数削減を行う合理的根拠は全く存在しないことは明らかです。
減らす対象とされている比例代表制度は、民意を正確に反映する制度として導入されたものです。それを削減して、民意を歪める小選挙区制の比率を高めるのは、「死票」が多くなり、国民の多様な声を切り捨てることになります。
今求められている改革は、選挙制度の根本に立ち返り、民意を正確に議席に反映する制度に抜本的に改めることです。