奮戦記
【12.02.21】予算関連法案について野田総理に質問
衆議院本会議で、日本共産党を代表して予算関連法案について質問しました。その内容は、以下の通りです。
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私は、日本共産党を代表して、予算関連国税・地方税法案等について質問します。
始めに、社会保障・税一体改革についてお聞きします。
野田内閣は、先週末「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定しました。これは、先月閣議報告された「素案」と、どこが違うのでしょうか。
消費税の大増税も、社会保障の改悪も、そのままではありませんか。消費税を10%に引き上げて国民のふところから、新たに13兆5千億円も取りあげながら、社会保障の「充実」には5分の1の2兆7千億円しか回さない、あとは「安定」のために使うというのが、政府の説明です。
ところが「大綱」を見ると、そのわずかな「充実」さえ帳消しにする「改悪メニュー」が目白押しであります。物価スライドなどを理由とする年金の削減、医療の窓口負担の増加、介護保険利用料の負担増、子ども手当の削減。これだけでも2兆7千億円になります。これによって、野田内閣の言う「充実」部分は、完全に吹き飛んでしまうではありませんか。
それだけではありません。年金の支給開始年令を68才、70才に先伸ばしされたら、さらに6兆円から10兆円の支給削減になるのであります。わが党の志位委員長の予算委員会での指摘にたいして、野田総理はその事実を否定できませんでした。
国民に消費税大増税も社会保障改悪も押しつける、まさに「一体改悪」であります。こうした内容が分かるにつれ、多くの国民が反対の声をあげているのです。それでも、野田総理は「一体改悪」を、国民に押し付けるつもりですか。
自見大臣にお聞きします。前回の総選挙で国民新党は「消費税は引き上げない」とマニフェストに掲げたにもかかわらず、あなたは、なぜ消費税増税を含む「大綱」を閣議決定するさい、署名したのでしょうか。
NHKの討論会で、亀井政調会長は、消費税増税は「実現不可能な内容だと判断し、黙認した」などと、意味不明な発言をしました。閣議決定に「黙認」という態度がありますか。署名したということは「賛成」したということではありませんか。国民に対する重大な背信行為だと言わなければなりません。
自見大臣はこれまで、財務金融委員会で、私の質問にたいして「消費税増税に反対だ」と答弁してきました。「大綱」に賛成しておきながら、それを具体化した「法案」に反対できるはずがないではありませんか。明確にお答えください。
さらに重大なのは、「大綱」に議員定数削減を書き込み「衆議院議員定数を80削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る」としていることであります。とんでもない話であります。選挙制度は議会制民主主義の根幹をなす問題であり、政治的立場を超え、真摯に議論して国会が決めるべきものです。まさにいま、各党が参加する協議会で議論しているさなかです。それを、なぜ野田内閣が勝手に決めて、国会に押し付けるのでしょうか。直ちに撤回することを強く求めます。
しかも「大綱」では、「消費税率引き上げまでに、国民の納得と信頼を得るため」と、消費税増税を押し付ける“地ならし”として、位置づけているのであります。増税と議員削減はまったく別の問題であるのに、関連づけることは、筋違いではありませんか。
日本国憲法は、「政府の行為によって……惨禍が起こることのないようにすることを決意」するとして、「主権が国民に存することを宣言」しています。その主権者・国民を代表しているのが国会議員なのであります。したがって、国会議員の定数削減よって、切られるのは、国民の声の“伝え手”であり、国民の声そのものではありませんか。しかも、国民の声を切り捨てておいて、国民に増税を押し付ける大暴走は、断じて許されません。答弁を求めます。
次に消費税増税の、もう一つの“地ならし”とされている国家公務員給与削減についてです。数年にわたって、人勧を尊重せず、そのうえ労働者に不利益となる大幅な賃下げを押し付けることは、二重の憲法違反であり許すわけにはいきません。これは、官民労働者の賃下げの悪循環を招き、内需を冷え込ませるだけです。直ちに撤回すべきではありませんか。
だいたい、賃下げの理由について、一昨年は「財政再建」といい、去年は「復興財源」といい、今年は消費税増税の“地ならし”としての「身を切る改革」という。理由が二転三転しているのであります。このことは、賃下げが、いかに道理がないかを示しているのではありませんか。
提案されている租税特別措置法案には、3月末に期限を迎える研究開発減税の上乗せ特別措置の延長や、海外投資等損失準備金の延長が盛り込まれています。しかし民主党は、特定の企業や団体への租税特別措置は「実質的な補助金」であり、運用状況を明らかにしたうえで恒久化もしくは廃止という方針を掲げていたはずであります。
今年度の研究開発減税は、98%が大企業向けであり、わずか467社の大手企業のみが利用する見込みであります。海外投資損失準備金にいたっては約50件程度であり、まさにごく一部の大企業への優遇措置であります。特定の大企業への実質補助金と化しているこうした措置は、直ちに廃止すべきではありませんか。
次に、来年度の地方財政計画についてです。政府は、地方の歳出を「国と基調を合わせて」抑制するとした、一昨年6月の「財政運営戦略」に基づいて、一般行政経費、人件費、投資的経費を削減しています。
とりわけ、一般行政経費単独では「社会保障関係経費以外」の削減枠を設けています。「社会保障関係経費以外」の枠で、いくら削るのでしょうか。その根拠、基準はいったい何でしょうか。社会保障改悪と貧困の拡大によって増加せざるを得ない国保会計への一般会計繰入れや就学援助などの抑制につながるのではありませんか。これでは、住民の福祉を守る自治体の役割を果たすことはできません。答弁を求めます。
公債特例法案について言えば、2012年度予算案の一般会計の歳入総額90.3兆円のうち、公債金額44.2兆円にたいして、税収は42.3兆円にとどまっており、公債依存度は昨年よりも増えて49%となっています。
しかも、公債金額のうち赤字公債は38.3兆円であり、過去最最大であった昨年度をさらに上回っているのであります。総理は、その責任をどう感じているのでしょうか。
いま、やるべきことは、八ツ場ダムなどの無駄な大型開発、米軍への思いやり予算の削減、原発推進予算の大幅削減、政党助成金の廃止などの歳出の改革であります。歳入面では、富裕層や大企業優遇の不公平な税制を改めることではありませんか。
日本共産党が先日発表した「提言」は、12〜15兆円の財源確保ができることを具体的に示しております。この方向でこそ危機打開ができる。――このことを強調して質問を終わります。
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