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奮戦記

【10.11.16】衆院本会議――補正予算案が可決。APEC報告の質疑

   2010年度補正予算案は、16日午後の衆院本会議で与党と社民党の賛成多数で可決され、参院に送付されました。

 日本共産党の笠井亮衆院議員が、反対討論を行いました。
 参院では、18日から補正予算案の審議を始めます。補正予算案は、野党が過半数を占める参院では否決される見通しですが、憲法の規定で衆院の議決が優先されるため成立することになります。

 つづいて、菅総理からAPEC報告がおこなわれ、これに対する質疑がおこなわれました。日本共産党は、吉井英勝衆院議員が別添の質問を行いました。参考のため、ご紹介します。

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 私は日本共産党を代表して、APEC報告について質問します。
 まず、TPP、環太平洋パートナーシップ協定の問題であります。

■いまなぜ米国主導のTPPなのか
 米国オバマ政権は、TPPを米国の通商政策、対アジアを中心とした輸出倍増計画の柱に位置づけ、米国主導で強力に進め、日本の対応をもとめています。
 菅総理が10月の所信演説で、「新成長戦略」の工程表にもなかった「参加検討」を突如打ち出し、「協議開始」を強行するのはなぜなのか。もともと日本は「東アジア共同体」、ASEAN+6を提唱してきました。なぜ方針を大転換し、米国主導のTPPに舵をきったのですか。明快な答弁を求めるものであります。
 先週9日の予算委員会で、玄葉大臣は、二国間EPAが進められなかった、だからTPPというハイウェーに乗ることになった、と答弁しました。この意味を国民にわかるように説明ください。
 現在TPPの参加交渉に入っているのは、APECに加盟する21の国・地域のうち9カ国にすぎず、中国も韓国も入っていません。そして9カ国のうちチリなど6カ国と日本は、すでにEPAを締結・合意しています。したがって、TPPに日本が参加する実質的意味合いは、米国と豪州にあり、その中核は事実上の日米FTAなのではありませんか。

  ■農業破壊、地域破壊
 重大な問題は、米国主導のTPPは原則、例外なくすべての品目の関税をゼロにし、完全な自由化を求めることです。農畜産物をはじめあらゆる品目、サービス、金融、労働力の移動から投資まで、すべてに及ぶのであります。
 総理は「平成の開国」といい、世界から「立ち遅れている」かのようにいいますが、本当にそうなのでしょうか。
 例えば日本農業は、鎖国状態どころか世界で最も開かれた市場となっています。
 農産物の平均関税率は、韓国が62・2%、EUが19・5%などに対して、我が国はわずか11・7%であります。一方、世界最大の農産物輸出大国であるアメリカやオーストラリアに対して、我が国の食料自給率は40%にすぎません。
 TPP参加に、北海道はじめ8道県議会や全国町村会が反対決議を行っています。鹿野大臣、農水省の影響試算によっても、日本農業と地域経済に壊滅的な影響を及ぼすことは火を見るより明らかではありませんか。
 食料安保のAPEC「新潟宣言」にみられるように世界的な食料危機、飢餓と貧困からいっても、また気候変動、生物多様性、地球環境や国土の保水、自然環境の保全からいっても、農林水産業はいったん失うと取り返しのつかない多面的機能をもっております。決してお金だけに換算できるものではありません。総理の認識をうかがいます。
 前原外務大臣は、先月、「日本のGDPの1・5%の第一次産業を守るため、98・5%が犠牲になっている」と発言しました。まさに暴論であります。前原発言の撤回をもとめます。
 総理もこうした認識を容認されるのか、答弁を求めます。

  ■TPPは誰のため、何のための協定か
 TPPがめざす「シームレス」、すなわち「切れ目のない地域の形成」とはいったい誰のための、どういうものでしょうか。
 自動車、電機など輸出大企業は、今や巨大な多国籍企業に成長し、すでに世界中に海外生産拠点を設け、国際生産ネットワークを築いています。シームレスな市場の形成は、日本経団連、財界の一貫した要求であり、TPPの実現により、例えばある自動車メーカーは、輸出を海外生産へ切り替えたり、米国工場を拡張し、そこを輸出拠点として豪州への輸出拡大をはかることを表明しています。
 このようにTPPは、国内立地と雇用の拡大を保障するものではなく、かえって産業と雇用の空洞化を加速しかねないものではありませんか。
 経済の国際化、グローバル化が進む今日、多国籍企業の国際競争力がその国の競争力、国民の利益と厳密に一致しなくなっている時代であることは、1992年の通商白書が喝破したとおりであります。総理にこうした認識はありますか、答弁をもとめます。

■日米同盟の深化、何を約束したのか
 つぎに、日米首脳会談です。菅総理は、安保改定50周年にあたり、米軍の引き続くプレゼンス(駐留)が必要との認識をしめし、普天間基地の辺野古「移設」に「5月の日米合意をベースに最大限の努力をする」と表明しました。これは沖縄県民の「県内移設反対」の総意を真っ向からふみにじるものであります。
 また、泥沼化し治安状態の悪化が深刻化するアフガン本土に自衛隊医療部隊の派遣を検討すると表明したことも重大です。米側にどのような約束をしたのか。そもそもアフガンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)への自衛隊派遣は、憲法9条から問題となり、自民党でさえ踏み出せなかったものであります。いったいどのような根拠で正当化するのでしょうか。明確な答弁をもとめます。

 総理は「いま歴史の分水嶺にたっています」といいながら、いつまで日米同盟にしがみつく政治をつづけるのでしょうか。経済でも外交でも日米同盟を絶対視するのではなく、真に、平和、人権、対等、平等、互恵の東アジア共同体の構築を目指す政治への転換こそもとめられているのであります。

 以上、答弁をもとめ質問をおわります。

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