奮戦記
【09.06.02】会期55日延長に反対する討論。憲法審査会規程めぐる動き
今日の衆議院本会議で、政府与党は7月28日までの55日にわたる長期の会期延長を提案しました。
議運委では、会期延長を議題にすることに反対する野党の主張を押し切り、与党が多数で強行しました。本会議では、各党代表が討論を行い、採決した結果、会期延長が可決されました。
私は、日本共産党を代表して反対討論をおこないました。私がおこなった討論の内容は、別項の通りです。
憲法審査会規程をめぐる新たな動きについて
今日の議院運営委員会理事会で、自民党が改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の規程制定をめぐり、新たな提起をしました。
6月9日の議運委員会で各党の自由討論をおこない、11日に本会議で規程案を採決することで「野党と合意したい」というのです。
国会の延長を機会に、規程づくりを強行しようという姿勢が明らかになりました。
野党側は、これに同調しなかったため、今日のところは「今後、引き続き協議する」ことになりました。
会期延長に反対する本会議討論(全文)
私は、日本共産党を代表し、会期を55日間延長する提案に反対の討論をおこないます。
麻生総理は、安倍総理・福田総理と二代つづいて政権を投げ出す前代未聞の異常事態を受け、昨年秋に政権の座に着きました。
日本共産党は、貧困と格差を広げた「構造改革路線」とをどうするのか、アメリカいいなりの自衛隊海外派兵をつづけるのか、これら国政の基本問題を徹底審議したうえで解散し、国民の審判をあおぐことを要求してきました。
総理に就任して真っ先にやるべきは、解散・総選挙で国民に信を問うことだったのであります。ところが麻生総理は、世論調査の支持率が芳しくないと見るや一転して解散を先送りし、「政局より政策だ」と言い出したのであります。
そのため、本予算だけでなく3回も補正予算を組みました。しかし、金額だけは最大規模に膨らんだものの、財界奉仕・アメリカ追随という政治の基本は、まったく変わらなかったのであります。そのため国民は、耐え難い痛みを押しつけらることになりました。
一時的なバラマキの陰で、麻生内閣は、母子家庭の児童扶養手当のカットを無慈悲に続け、生活保護の母子加算・老齢加算も4月から容赦なく廃止してしまったのであります。あまりにも冷たいではありませんか。
また、高齢者の怨嗟の的となっている「後期高齢者医療制度」を続け、「応益負担」の名で自立を破壊する「障害者自立支援法」もそのままであります。そのうえ、社会保障を毎年2200億円削減する基本方針も、撤回しようとしておりません。国民の不安は拡大するばかりであります。
「給付金あとで回収、消費税」――この川柳が、国民の共感を呼んでいるのをご存じでしょうか。理念なきバラマキ予算のすべてのツケが、消費税大増税で庶民に回されることを、多くの国民が気づいております。麻生内閣の狙いは、ものの見事に見抜かれているのです。
許し難いのは、会期延長で成立を図ろうとしているのが、海賊対処法案であり、憲法審査会規程だということであります。
海賊対処法案は、「海賊」を口実に自衛隊の海外派兵を拡大するものであります。法案では、抵抗・逃亡する海賊への危害射撃、海賊行為を制止するための船体射撃を規定しています。日本から遠く離れたソマリア沖で、自衛隊が戦後初めて、人を殺傷しかねないものであります。しかも、法律ができる前に「海上警備行動」の名で、護衛艦、P3Cまで派遣しているのであります。
これは、派兵恒久法につながる動きであり、絶対に容認できません。
ソマリア海賊の取り締まりは、ほんらい、周辺国の海上警察力によるべきものであり、日本はそのための財政的・技術的な支援をおこなうべきであります。
さらに、問題の根本的解決のためには、ソマリアの内戦終結をはじめ、崩壊したソマリアの国家とこの地域を政治的、経済的に安定させることであります。そのための国際的協力と外交努力こそ、憲法9条を持つ日本がやるべきことであります。何が何でも、自衛隊派兵ありきという発想は、撤回すべきです。
「憲法審査会規程案」について言えば、審査会を始動させて改憲原案づくりに着手し、国民投票法施行後に改憲原案の国会提出をいつでもできるようにすることをねらったものであり、断じて容認できません。
国民は憲法改正をもとめておらず、改憲手続を整備する必要はまったくないのであります。
与党は、改憲手続法が成立して2年経つのに憲法審査会が発足していないことが問題だといいますが、そもそも、改憲手続法は、当時の安倍内閣のもとで自民党が目指す9条改憲の政治スケジュールにそって、強行成立させられ、憲政史上に重大な汚点を残したものであります。
「審査会規程」が未整備であることを問題にするのなら、むしろ、改憲手続法そのものを廃止すべきであります。
これらの悪法を通すための会期延長など、とうてい認めるわけにはいきません。すみやかに解散・総選挙で国民に信を問うことを求め、反対討論と致します。
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