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奮戦記

【08.11.21】公取委の「同意人事案」を政府が取り下げた理由について

   政府は先週、公正取引委員会委員に上杉秋則氏(元公取委事務総長)を充てる人事案を国会に提示しました。

 今日、議院運営委員会に出席した内閣官房副長官・鴻池祥肇氏は、その人事案を「取り下げたい。その理由は後日、説明したい」と述べました。
 政府が、提案した人事案を撤回するというのは、きわめて異例な事態です。

 それは、野党側の調査で、上杉氏が「弁護士資格」を持っていないにもかかわらず、出版物などで「弁護士」という肩書きを用いていたことがわかったためです。
 衆参両院は、予定していたこの人事案採決を見送りました。

   上杉氏は公取委に在職中に、弁護士資格を持たないのに架空の弁護士名(弁護士の肩書きのペンネーム)で月刊誌に論文を寄稿していました。

 さらに日本共産党の調査で、独占禁止法に関する実名での著作を紹介する出版社のチラシに、弁護士の肩書を使用していたことも判明しました。弁護士法に違反する行為です。
 このような人物を、「法律に精通している」という理由で国会に正式に提案した政府の責任が、改めて問われます。

私が議運委で発言した「同意人事」についての意見表明

 まず、再就職等監視委員会委員任命の件であります。
 再就職等監視委員会は、昨年の公務員法改正による天下り規制の事実上の自由化とワンセットで設置されたものであり、天下り容認システムともいうべきものであります。
 同委員会は、天下りの新たな機関である官民人材交流センターが本格始動するまでの移行期間の三年の間は、政府も「廃止すべし」とした省庁による天下りあっせんを承認する機能が与えられています。こうした天下りあっせん自体を認めることはできません。
 したがって、再就職等監視委員会の設置自体に問題がある以上、その委員の任命に同意することはできません。これは、前国会で申し述べたところであり、その見解はいささかも変わるところはありません。
 次に、日本放送協会経営委員についてであります。
 NHK経営委員会は、07年12月の放送法改正によって、従来の公共放送を国民視聴者の代表が管理監督する組織という側面が大きく後退させられ、「企業経営のガバナンス」を行なう組織に変質させられました。しかも、昨年6月に安倍内閣によって任命された古森委員長のもとで、財界の意に沿ったNHK経営合理化が強引にすすめられ、公共放送の役割をゆがめてきました。
今回、退任する古森氏にかわって、みずほフィナンシャルグループ社長で日本経団連副会長の前田氏を任命するのは、現委員長代行である岩崎三井不動産会長ととともに、NHKに対して財界の意向をより強く反映しようとするもので、認められません。
また再任の2人は、常勤委員の監査委員として古森委員長を支えてきたのであります。古森氏は09年度からの次期経営計画の決定にあたって、3人の委員の反対をおしきり、「受信料10%還元」を強引なやり方でもりこむ修正議決をおこないましたが、両委員はこれを支持しています。いっそうの合理化で公共放送をゆがめる古森路線を踏襲する委員の再任には同意できません。
 社会保険審査会委員の再任の件については、健保や年金にかかる行政措置の不服申立てを審査し救済する機関の委員に、巨額の保険金未払い問題をおこしている大手損保の幹部役員をあてることは、とうてい容認できません。
 最後に、公正取引委員会委員の件については、弁護士資格をもたないにもかかわらず、その著作・論文などにおいて弁護士を僭称しており、まったく不適格といわざるをえない。かかる人物を選考してきた政府の責任はきわめて重大であります。
 その他の同意人事については、特に問題はなく、賛成であります。
 以上、意見表明を終わります。





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