奮戦記
【08.02.03】長生きすると医療差別─後期高齢者医療制度は“現代の姥捨て山”だ
政府が4月から実施しようとしている「後期高齢者医療制度」は、とんでもない“現代の姥(うば)捨て山”とも言えるものです。
この医療制度は、75歳以上の高齢者を一律に「後期高齢者」として、74歳以下と切り離し、まったく独立した医療保険に加入させようとするものです。
そのねらいは、75歳以上になると医療費がかさむため、受けられる医療を制限することによって医療費が増えるのを抑えることにあります。
この制度では、75歳以上になると全員が保険料を払うことになり、それも年金(月1万5000円以上の人が対象、生活保護を受けている人は除く)から問答無用で天引きされます。
しかも、医療機関に支払われる「診療報酬」を別体系にし、たとえば医学管理や検査、画像診断、処置をひとまとめにして「包括払い(定額制)」にするのです。
そのため、75歳以上の患者のばあいには、どんなに検査や処置をしたとしても、医療機関に支払われる診療報酬は増えない仕組みになっています。
誰が考えても、高齢者になれば病気になることが多くなります。
それを一つの医療制度にまとめるやり方は、厚労省の元幹部からも「姥捨て山」と指摘されています。
国民の批判が強まったため、政府は「半年間だけ保険料を免除」しその後は段階的に引き上げ「2年後には全額保険料を払う」という方針を示しました。
これ自体ごまかしですが、それが適用されるのもごく一部で、1300万人にのぼる75歳以上の高齢者のうち、健康保険や共済組合の扶養家族になっているたった200万人にすぎません。──これでは「手直し」の名にまったく値せず、ごまかしそのものです。
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