奮戦記
【06.11.07】「貸金業法改正案」について代表質問をおこないました
サラ金など貸金業者への規制を強化し、多重債務問題の温床である「グレーゾーン金利」の撤廃などを盛り込んだ貸金業規正法などの改正案の審議が、今日から始まりました。
この改正法案は、◆出資法の上限金利の引き下げ、◆グレーゾーン金利を条件付で「有効」とした「みなし弁済規定」の廃止、◆貸付総額の規制、◆「命が担保」の生命保険契約の禁止ーーなどが骨子となっています。山本有二金融担当大臣は「貸金業の適正化をはかるため」と趣旨を説明しました。
私は、今日の本会議で、代表質問に立ち、この法案について「これ自体は一歩前進」とのべました。その一方、「利息制限法をはるかに越える金利を有効とみなす制度を、なぜ長年にわたって放置してきたのか」と政府の責任を問いました。
9月に自民党が発表した法案骨子に、当面高金利を温存する「特例」と、利息制限法の事実上の利上げが盛り込まれた経緯を追求。「サラ金業界から献金を伴う猛烈な巻き返しがあったからではないか」とただしました。
また、私は、改正法案が金利引下げを「3年を目処」としている点について「直ちに引き下げるべき」、利息制限法の上限金利も「引き下げるべき」と指摘しました。
山本金融担当大臣は「法案には総合的かつ抜本的な施策を盛り込んだ」と趣旨説明の内容を繰り返すばかりでした。
「貸金業法改正案」代表質問 佐々木憲昭
日本共産党を代表して貸金業法等改正案について質問します。
この改正案では、出資法の上限金利を引き下げ、事実上グレーゾーンを撤廃することにしています。これ自体は一歩前進であります。
しかし、利息制限法をはるかに超える金利を「有効」と見なす貸金業法を、政府はなぜ、長年にわたって放置してきたのでしょうか。その責任は重大です。
サラ金業界は、高金利を手に入れるため、十分な審査もせず借り手の返済能力を超えた融資をおこない、そのうえ命を担保とする生命保険までかけていたのであります。そのため、深刻な被害が全国に広がりました。年間の自己破産は20万人、生活苦から命をたつ人が年に8000人にのぼっています。
サラ金の被害者やその家族によって高金利の引き下げをもとめる切実な訴えが繰り返されてきました。また、グレーゾーン金利を認めない最高裁の判決も出されました。にもかかわらず、政府は、なぜ動こうとしなかったのでしょうか。ここまで被害を広げてきた責任を、どう感じているのでしょうか。答弁を求めます。
しかも重大なのは、いよいよ新たな対策をとるという段階になって、政府・与党内で、グレーゾーン金利の取り扱いをめぐり、大きな揺り戻しが起こったことであります。
金融庁の「貸金業制度に関する懇談会」では、上限金利を利息制限法の水準に引き下げ、グレーゾーンを廃止することが委員の多数意見であったと報告されていました。
ところが、9月に自民党が発表した法案骨子は、それとはまったく違う内容になっていたのであります。そこには、利息制限法を超える高金利を当面残す「特例」を盛り込み、そのうえ、利息制限法の金利を、事実上引き上げる案まで盛り込まれていたのであります。
本法案では、高金利を認める「特例」も「利息制限法の金利の変更」も盛り込まれておりません。これは、国民の猛烈な批判をあびて撤回せざるをえなかったからであります。
なぜ、自民党は9月に、抜け穴だらけの案を提案したのでしょうか。
わが党の調査では、サラ金業界から自民党および自民党議員への献金など、資金提供は3年間で1719万円にのぼっていることが明らかになりました。サラ金業界から、献金をともなう猛烈な巻き返しがあったのではありませんか。
次に、実施時期の問題です。法案では施行から2年半後とされ、おおむね今後3年間は高金利のグレーゾーンが維持されることとなっています。多重債務の被害が人の命にかかわる深刻な問題であることを考えれば、ただちに引き下げるべきではありませんか。
日賦貸金業者および電話担保融資の「特例」も、即刻廃止すべきです。これも3年間据え置くというのでは、法律の知識のない利用者の金利被害を放置することになります。ただちに実施することを求めます。
次は、現行の利息制限法の上限金利の問題です。
15%から20%という金利は、そもそも戦後の市場金利が高かった時期に定められたものであります。
現在のように市場金利が非常に低い時期に、なぜ、このような高い上限金利を維持する必要があるのでしょうか。
いま、大手銀行はサラ金業者と提携し、利息制限法の枠内で消費者ローンを急速に増やしております。仮に、金利18%をサラ金業者と折半すれば、銀行には9%の金利が入ります。
現に銀行は、これまで低金利で融資をしてきた利用者にたいして、消費者ローンを利用するよう誘導しており、それによって巨額の利益を得ているのであります。
この利息制限法の上限金利についても検討を加え、多重債務を引き起こさない適正な金利に引き下げるべきではありませんか。―― 以上で質問を終わります。