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奮戦記

【05.04.07】衆議院本会議で会社法改正案について質問しました

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 今日は、衆議院の本会議で日本共産党を代表して会社法改正案について質問しました。以下は、その全文です。ご紹介しましょう。



 いま、日本の企業に問われているのは、国民に衝撃を与えたさまざまな不祥事の発生原因を明らかにし、コンプライアンス(法令順守)をはじめ企業の社会的責任を明確にする法整備であります。

写真 この一年、コクド・西武鉄道による商法違反・証券取引法違反事件、JFEの汚水排水事件、三菱地所・三菱マテリアルの土地汚染隠蔽事件、三菱ふそうトラックによる度重なるリコール隠し、カネボウの粉飾決算など、重大な企業犯罪が繰り返されております。

 このような行為が、時には国民の命をうばい健康を蝕んでいます。それだけでなく、会社そのものの存立基盤を揺るがせ、日本経済再生の障害にさえなっているのであります。

 この事態を克服するため、いまなすべきことは、企業経営の透明性と規律を高めること、国民や従業員による監視を強めることであり、そのことを通じて、企業に社会的責任を果たさせることではないでしょうか。はじめに、竹中経済財政政策担当大臣の答弁を求めます。

写真 提案された会社法案は、はたしてこれらの問題に応えるものになっているでしょうか。

 第1は、経営者の自由度拡大と社会的責任の問題です。

 今回の会社法改正では、これまで会社法制が課してきたさまざまな規制を大幅に緩和するとともに、利益配当決定の権限を株主総会から取締役会に移すなど、経営者の経営の自由度を大幅に拡大しています。

 また、これまで「無過失責任」とされていた取締役の責任を「過失責任」に後退させ、さらに経営者の責任追求の手段とされていた「株主代表訴訟」のハードルを引上げる改悪が行なわれています。

写真 これでは、企業犯罪が減るどころか逆に増大するなどの弊害が起こってくるのではありませんか。法務大臣の答弁を求めます。

 第2は、グローバル化への対応の問題です。

 求められていたのは、集団訴訟やディスカバリー制度など、アメリカにおいて一般投資家が事後的に経営者の責任を追及するために有効に機能している制度であります。
 ところが、日本経団連など経営者団体の強い反対によって実現しなかったのであります。

 アメリカでは、エンロンやワールドコム事件を契機に、不十分ながら不正を働いた経営者への罰則強化、監査法人への監視強化、情報開示の強化などを柱とした企業改革法を成立させています。

 ところが日本では、大和銀行事件など株主代表訴訟による巨額の賠償判決を契機に、企業経営者の責任を問うどころか、「経営者のなり手がいない」などとして取締役の責任を引き下げる商法改正を行ないました。

写真 さらに、今回の会社法案によって、日本において経営者の行動を事後チェックする事実上唯一の手段として、有効に機能してきた株主代表訴訟に厳しい要件を持ち込み、取締役の責任を軽減しようとしています。

 グローバル化のかけ声で、財界にとって都合の良いところだけを取り入れ、経営への牽制を減少させて、どうして企業犯罪を減らす事が出来るのでしょうか。

 せめて当面、アメリカ並みに経営者へのきちんとしたチェック体制を確立すべきではありませんか。法務大臣の答弁を求めます。

写真 第3は、企業グループをめぐる問題です。

 コクドと西武鉄道のように、親会社と子会社、持株会社とグループ企業の不透明な関係が明らかになるなど、企業グループの責任の所在が問われています。

 日本の企業法制は、一方で、グループ全体としての経営判断、連結会計、連結納税など経営におけるグループ支配を認めながら、他方で、企業責任については、「親会社と子会社は別」とされています。

 そのため、たとえば、親会社によって子会社が破産させられても、子会社の債権者や労働者は親会社の責任を問うことはできないという理不尽な仕組みになっています。

写真 欧米では、子会社に問題があれば親会社の責任を問う「会社結合法制」が、当然のルールとなっています。
 なぜ、今回の改正でこうした制度をとらなかったのでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。

 第4は、大企業の租税回避の問題です。

 この間、ハンナン・武富士などが巨額の脱税で摘発され、コクドは法人税を1円も支払わず堤義明(つつみよしあき)氏の膨大な所得隠しが指摘されています。

 こうした、巨額脱税・租税回避がなぜ許されたのか。国民は、大企業の租税回避疑惑の真相解明と改善をもとめています。法制上・行政上どこに問題があったのか、どう改善していくのか。谷垣財務大臣の答弁を求めます。

写真 今回の会社法改正によって、合同会社・LLCとか有限責任事業組合・LLPといった、新たな会社類型が創設されようとしています。

 このことについて、法制審議会部会長の江頭東大教授は「経済界としては税制上のパススルーさえできればいいのであって、必ずしも新しい会社類型が必要だったわけではない」。「規制が緩いという事で、むしろ大企業が子会社を作るのに使われるのではないか」と指摘しています。

 新しい会社類型が、大企業の課税回避のために使われることに、なりはしませんか。財務大臣の答弁を求めます。

写真 企業のあり方を考えるさい、避けて通れないのは政治献金の問題です。

 企業と株主の関係から見て、営利を目的とする企業の経営者が、勝手に会社の財産を特定政党に献金すれば、それは、ほんらい目的外の行為であって株主の利益を侵害する背任行為となります。
 他方、企業が利益追求のために献金しその“見返り”を求めれば、それはワイロそのものであります。

 このような企業献金を野放しにしてきたことが、特定の企業・業界と政治の腐敗、政官業癒着を生み出す原因の一つとなったのであります。

写真 しかも、国民との関係でみれば、選挙権を持たない企業がカネの力によって政治を動かすことが、国民の参政権を著しく侵害することになるのは明らかであります。

 企業・団体献金の禁止が、日本社会のなかで企業が健全に発展するうえで不可欠の緊急課題であることを強く指摘しておきます。

 最後に、竹中大臣に質問します。

 一昨日の本会議で、あなたは「与野党合意の上で、私が出席する必要があるとの判断がなされたものについては」きちんと対応するが、総務委員会では「そのような合意がなされていたとは、私は承知しておりません」と答弁しました。

写真 しかし、5日の総務委員会では、竹中大臣の出席について与野党が合意し、タイムテーブルまで作成されていたのであります。

 当日になって突然欠席することは議会軽視もはなはだしく、そのうえ、本会議で事実とまったく異なる答弁をし、本日また「情報収集が不足していた」などと、開き直るに至っては、国会を二重、三重に愚弄するものと言わなければならず、断じて容認できるものではありません。

 竹中大臣に、本会議答弁の撤回と明確な謝罪を求めるとともに、どう責任をとるのか、明らかにすることを求め、私の質問を終わります。

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