奮戦記
【05.02.21】ライブドアのニッポン放送株買い占め問題を考える
インターネット関連企業のライブドアがニッポン放送の株の40%以上を取得したとのニュースが流れています。
ライブドア側は、ニッポン放送を会計上の連結子会社とすることや役員派遣も検討し、両社の関係を強化する構えを示しています。
日本経団連の奥田碩会長は、今日の記者会見で「堀江さんの『金さえあれば何でもできる』という考えは、日本社会で一番まずい話なので、道徳的におかしいと政財界から非難が出た。堀江さんも甘んじて受けないといけない」と批判したそうです。
ちょっとまってください奥田さん! 果たして、そんなことが言えるのでしょうか。
――政党に通信簿をつけて、お金で政治を買うという「日本社会で一番まずい」ことをやってきたのは、いったい誰でしょうか。
時間外取引によるライブドアの大量買い付けについて、その違法性を指摘する声も上がり、政府は証券取引法改定を検討するとしています。
西武鉄道の株主虚偽記載事件をきっかけに、多くのマスコミ機関で「マスメディアの集中排除原則」に反する持ち株制限違反や虚偽記載が明るみに出て、総務省は形の上では厳しく対処するとしています。
しかし、その一方で規制緩和を打ち出しています。ライブドアは、その盲点をついてきたわけです。
今回のような参入の仕方が、これからもありうるとの警告といえます。
ライブドアに資金調達したのはアメリカの投資会社リーマン・ブラザーズ証券。外資が日本の放送へ触手をのばしているともされています。
メディアの世界では、金にあかせて放送局が支配されることがないように「マスメディア集中排除の原則」があります。
総務省令は、マスメディアが放送局の株を持つ場合「同一地域の複数の放送局で10%以上、別な地域の放送局の場合で20%以上の株式を保有してはならない」と持ち株制限をしています。外資にたいしても20%に制限しています。
しかし、実際にはこれが有名無実になり、株の保有は野放し状態となっているのが現状なのです。
集中排除原則が骨抜きになっているもとで、ライブドアがそれに付け込んでニッポン放送株を買い付けたのが今回の事態といえるでしょう。
これまでの政府の対応の問題点も、あわせて浮き彫りになったといえるのではないでしょうか。
公共的性格を持つ放送をマネーゲームの道具にしていいのか。――このことが根本から問われているのです。