奮戦記
【04.09.07】愛知万博――“自然の叡智”を掲げて自然こわすな!
今日は、財務金融委員会の派遣・視察の2日目です。
午前中、来年(3月25日〜9月25日)開催予定の「2005年日本国際博覧会」(愛知万博)の予定地、長久手町の会場を視察し説明を受けました。
会場に近づくにつれ、リニアモーターカーが走る路線と支柱が目に入ります。まさに、ゼネコン中心の土木工事そのものです。
会場予定地に着くと、パビリオンをはじめ、さまざまな建物が次々と建設中です。ここでも、ゼネコン各社の名前が公然と掲げてありました。
私は、自然の叡智をかかげていながら、自然を破壊するものになっているのではないか、という懸念を持たざるをえませんでした。
そこで、中村事務総長に聞きました。
――「海上の森を会場からはずしたことはいいが、例えば「ゴンドラ」が長久手会場から瀬戸会場まで、延々とつくられようとしている。自然とのふれあいを言いながら、なぜこのようなものをつくるのか。このゴンドラの14の支柱のうち2つについては地元住民が貴重な自然を破壊するものと厳しい批判をしている。どのように考えているのか」。
これにたいする回答は、「たくさんの人を運ばなければならないので必要だ。批判があるのでコースについては変更した。工事のために道路をつくると、環境への影響が大きいので、空からヘリコプターで資材を運ぶことにしている」というものでした。
しかし、その近くにはオオタカの営巣が3つあります。
私は、「ヘリコプターを飛ばすことによってオオタカへの影響が大きいのではないか」と聞きました。
これにたいする答えは、「8月などの営巣の時期をはずして工事をするので、配慮している」というものでした。
しかし、もともとこのようなゴンドラが必要だという発想そのものに、問題があるのではないでしょうか。
どうも、現地を見て話を聞けば聞くほど「万博」と「環境」が、そもそも両立するようなものなのか。疑問が深くなるばかりでした。
赤字になったときの負担は、誰が負うのか
万博の総予算は、国が450億円、自治体が450億円、民間が450億円、あわせて1350億円です。
関連事業も含めると1600億円になります。
さらに、その他の費用をを入れると3400億円にのぼります。
私は「この費用は、どの程度回収できるのか。「採算ラインは、入場者何人なのか」と聞きました。
万博の中村事務総長の話によると、「入場者数は1400万人を予定しており、それを達成しないとだめ」と言いました。
入場料は、普通入場で「大人3900円、中人2100円、小人1300円、シニア3100円」です。
たとえば、夫婦と子ども二人で、1万円を超えるような高い料金で、どんどん入場者が入ると言えるでしょうか、疑問です。
大阪万博は6400万人参加して成功しました。しかし、沖縄の海洋博は349万人で失敗しています。その二の舞にならないという保障はありません。
他の議員が聞きました。「佐々木議員が言ったように、赤字が出たときは、誰が負担するのか。万博が終わったあと、天下り先として組織が存続されるということはないか」。
これにたいしては「赤字が出ないようにするしかない」というだけで、具体的な答えはありませんでした。
なんとも、心もとない話です。
このように、さまざまな問題が未解決のまま、万博も中部国際空港も、工事だけはどんどんすすんでいるのです。これでいいのでしょうか。
焼き物のまち瀬戸市――産業としての発展の道はどこにあるか
その後、愛知県陶磁資料館を見学し、タイル産業で成功している会社を視察しました。
陶磁資料館は、縄文時代から現在までの陶磁器の歴史的な資料を展示しており、たいへん参考になりました。
また、タイル産業の若手社長の熱弁と技術開発の熱意にも圧倒されました。
しかし、地場産業としての食器を中心とした焼き物産業の発展の道は、全体としてたいへん厳しい状況にあります。
地域に密着している焼き物を産業としてどう再生するかが大事な点です。
今日の視察だけでは、まだまだ表面的で、実態を把握するところには至っていません。
台風18号の被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます
愛知から岐阜に入ると、台風の風がごうごうと音をたてて吹き荒れています。
被害情報も伝えられています。被害にあわれた皆さんに、心からのお見舞いを申し上げます。