奮戦記
【04.09.06】中部国際空港――壮大なムダ事業にならないか!?
今日から3日間の予定で、衆議院財務金融委員会の派遣・視察です。
第1日目の今日は、中部国際空港の現地視察に参加しました。
総工事費は、空港建設で6431億円、関連工事費(鉄道・道路アクセス)2006億円、あわせて8437億円という巨額な事業です。
それだけではありません。この他、地元の自治体の関連投資などを含めると1兆円を超える事業に膨れあがると言われています。
名古屋駅から中部国際空港予定地までバスで移動し、概況の説明を受けました。
ここでは、空港会社の平野幸久社長、常滑市の石橋市長、愛知県企画局からの説明を受けました。
空港会社の社長や県企画部長は、中部国際空港の開港と愛知万博によって5年間の経済効果が、2兆2000億円にのぼると自慢げに話をされました。
しかし、地元常滑市の市長は「期待通りではなかった」と苦渋に満ちた面持ちで、説明をしました。
私は、「この空港建設で地元で何人の雇用が増えたのか」と質問しました。
ところが市長は「建設関連の雇用も商業用の雇用も、把握していない」と答えたのです。
空港会社の社長は「かなりの程度あるはず」というだけで、具体的な雇用については触れませんでした。
それだけでなく「地元には若い人がいないから雇用が増えない」などというのです。
会合が終了した後、私は社長に「若い人がいないなんてことはないはずだ」というと、社長は苦笑いしていました。
これらのやりとりを通じて、雇用の点では、地元への波及効果がほとんどないことが、わかりました。
深刻なのは、将来の人口増加への効果です。
私は「何人増えると想定しているか」と聞きました。
常滑市長は「高齢者が毎年500人亡くなるが、生まれる子どもは300人程度で人口減がつづいている。空港の開港を契機に増やしたいと考えている。
そのため、ニュータウンの建設をはじめ1万5000人が新たに住める条件づくりをしている」と答えました。
ほんとうに、そんなに増えるのでしょうか? 大きな疑問です。
私は、そのための先行投資があまりにも大きすぎるのではないかと思います。
市長は「区画整理、ニュータウン事業など、これから5事業が残っている」と言いました。
関西空港の地元のように、市の財政危機の引き金にならなければいいが、と考えてしまいました。
もっと深刻なのは、将来の空港の営業の見通しです。
いま、国際線・国内線の誘致活動をすすめているそうですが、社長は「国際線の誘致が思い通りすすんでいない」と言っていました。
もしも、赤字が累積されるようだと、その負担は誰がするのでしょうか。
国と愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市で、全体の6分の5の無利子資金を負担しています。
国民にだけ、莫大なツケが回されるのでは、ほんとうに困りますね。