奮戦記
【04.06.09】日銀の福井総裁に家計消費について質問しました
今日は、半年に一度、国会に報告される「通貨及び金融の調節に関する報告書」について、日銀の福井俊彦総裁に質問しました。
報告では、「雇用者所得は、徐々に下げ止まりに向かった」と述べています。しかし、改善していると評価はしませんでした。
福井総裁も、ある講演で「家計所得がなお伸び悩んでいる」と言っています。
しかし、その一方で「個人消費は、やや強めの動きとなった」とのべています。
「所得」は伸び悩んでいるのに、「消費」は増えているという奇妙な現象があらわれているのです。なぜ、こうなったのでしょうか。
それは、勤労者世帯の消費性向が上向いた、あるいは高齢者世帯では生活のために貯蓄の取り崩しがあった、そのため消費が伸びたとしか考えられません。
大事なことは、「一時的な消費拡大」ではなくて「持続的な消費拡大」になるかどうかです。
注目したいのは、一方で、大企業中心に空前の利益が上がっていることです。
トヨタの純利益は1兆円を超えました。上場企業の9割が連結ベースで最終黒字になっています。経常利益で過去最高を更新した企業は、4社に1社にのぼっています。
勤労者世帯の所得は伸び悩んでいるが、それを改善して持続的な消費拡大につなげていくためには高い水準の企業利益を、勤労者世帯に還元していくことです。
そのため、賃金の引き上げと雇用の拡大が必要なのです。
この点については、福井総裁も肯定的な答弁をしました。
ニッセイ基礎研究所、経済調査部門の「Weeklyエコノミスト・レター」は、このように書いています。
――「現在、企業部門内にとどまっているキャッシュフローが、賃金(雇用者報酬)、あるいは配当の増加という形で家計へ波及し、家計の所得が明確に増加することが、個人消費の本格的、持続的な回復の条件と言えるのではないだろうか」。
貯蓄動向についてもききました。
GDP統計で見ると、家計の貯蓄率は、日本の家計貯蓄率は1970年代半ばには20%を超えていましたが、2000年代に入ってから家計貯蓄率は急速に低下し、2002年度には6.2%と過去最低を記録しました。2003年度には、さらに落ち込んでいるものと思われます。
日銀の「資金循環勘定」で、家計の資金過不足をみると、2003年には1兆円の資金不足となるというこれまで経験したことのない事態が発生しました。
その原因は、貯蓄が急速に減少したことにあります。
将来不安があるにもかかわらず、貯蓄に回すよりも当面の生活のために消費にまわさざるをえない現状があるのです。