奮戦記
【03.12.24】3時間半の滞在で、どうして「安全宣言」ができるのか
公明党の神崎代表が、突然、イラクのサマワを訪問したかと思うと「現地は比較的平穏だ」と“安全宣言”を出して皆をびっくりさせました。
神崎氏の現地滞在時間は、わずか3時間半でした。しかもそれは、武装したオランダ軍の警護のもとで行われました。
「日経」(23日付)は、「政府内にも『神崎氏が訪問したのは安全な中でも最も安全な場所。しかも数時間の滞在で、何が分かるのか』と訪問の意図をいぶかしがる声もないわけではない」と指摘したのです。
神崎公明党代表が“安全宣言”を与えたことで、さっそく政府は、1月中旬にもイラク南東部の都市・サマワを中心に陸上自衛隊の先遣隊を派兵する方針を固めました。
神崎氏の「サマワ視察」が、小泉首相に派兵指示の口実を提供したことは、間違いありません。“歯止め”どころか、派兵強行への露払いの役割を果たしたのです。
サマワでは、市庁舎を標的にしたテロ計画2件が発覚、12月6日にはハンガリー部隊の車列に対する銃撃事件も発生しています。
オランダ軍は「テロの標的になる可能性は排除できない」として、警戒レベルを引き上げているのです。
神崎氏は、「視察」のなかで、オランダ軍司令官が「街の理髪店に防弾チョッキを着けずに単身で出かけることができるほど落ち着いている」「ヘルメットもかぶる必要はない」と語っていたと説明し、「現地は比較的平穏だ」と“安全宣言”をしました。
「理髪店」の話がどんなに実態と違うかは、現地ジャーナリストが指摘した通りです。
<写真は「しんぶん赤旗」12月23日付より>
神崎氏は、帰国後の記者会見で「理髪店」の話を問われ、「私が(日本で)理髪店に行く際も警護の人がついてくる。警備対象者だからついてくるだけだ。警護がついていたから危険だということではないのではないか」(「公明新聞」23日付)と言い逃れをしました。
では、日本では神崎代表に、武装した自衛隊でもついているのでしょうか。まったく、言い逃れにもならないではありませんか。
小泉総理は「公明党さんの協力があってはじめて基本計画の閣議決定にこぎつけた」と言っています。
「慎重に」などといくら言っても、公明党は小泉首相に「ノー」と言ったためしはありません。今回の事例も、結局は、イラクへの自衛隊派兵の露払いそのものでしかありません。