奮戦記
【03.06.27】なぜ銀行から株を買い、そのつけを国民に回すのか
今日は、財務金融委員会で、提出された「銀行等の株式等の制限等に関する法律の一部改正案」について、質問しました。
長い名前の付いているこの法案は、じっさいには「銀行保有株式買取法改悪案」とも言うべきものです。
現在、銀行が持っている株式を買取る株式買取機構という仕組みがあります。買い取った株が下がれば、国民負担になるという身勝手なものです。このような仕組みをつくることに、私たちはもちろん反対しました。
提案した政府は、「買取る株価の8%を銀行が負担する売却時拠出金が盛り込まれた。国民だけに負担させるのではない」といいました。
ところが、こんど提案された法案には、銀行の負担するこの売却時拠出金を廃止することが盛り込まれているのです。
与党の「提案理由説明」を読むと「関係者からは制度を利用しやすいものとして欲しいという要望が寄せられております」とされています。
私は、まず与党の提案者に聞きました。「関係者とは誰のことか。誰から要望されて、今回の改正案を出したのか」。
これにたいして、提案者である自民党の熊代議員は「全銀協からあった」といいました。要するに、銀行の言いなりで提案された法案だということが、よくわかりました。
銀行から株式を買い取る制度をつくったとき、8%の売却時拠出金を法案に盛り込んだ理由について、当時の柳澤金融担当大臣などは、「機構に公的支援を行う場合であっても、最終的には国民負担に極力つながらないようにすることが重要である」として「このような考え方」にもとづく「諸方策を講じ」たものだと繰り返し説明してきました。
それを撤廃して、銀行のリスクはなくします。その分はすべて国民にかぶってもらいますというやり方が、国民の理解が得られないことは明らかです。
結局のところ、今回の改正案は、徹頭徹尾いかに銀行を支援するかという観点が貫かれています。そのために、国民に負担を押しつけることには何のためらいもない。とんでもない法案です。
政府・与党は、この改正案を株価対策だとしています。
与党金融政策プロジェクトチームは、5月8日「当面の緊急・経済対策」で「銀行の保有株式の市場への放出が、株価の下げ圧力となっている見方があることから、(中略)機構の機能の改善を図る」と明記しています。
公的資金による株価操作は、公正な市場の形成をゆがめ、株価対策としての効果もありません。
株価は、経済の実態を映す鏡です。経済の実態を回復させ、企業業績を改善することなしに、公的資金で株価を支えることばかり考える政府の政策は、根本的に誤っています。
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