奮戦記
【03.01.26】消費税の「免税点引き下げ」がもたらすもの
消費税の税率引き上げは、「私の内閣ではやらない」と言っています。しかし小泉さんは消費税増税をすでに提案しています。
どういうことかって? ――それは、「免税点引き下げ」など消費税の特例縮小で、6300億円もの増税をねらっているからです。
中小企業の事務負担を軽減するためにつくられた簡易課税制度を見直したり、免税点引き下げるというのです。
売上高3000万円から1000万円への免税点の引き下げによって、新たに140万の中小企業・業者に納税義務が発生します。
よく、これらの免税業者は「益税」を取得しているというのですが、その根拠はありません。
私の質問に、塩川財務大臣も「私は益税はないと言っている」と答弁しました。
この問題の中心点は、消費税を転嫁できているかどうかです。
転嫁できてトントン。転化できなければ「益税」ではなく「損税」になるのです。
財務省の資料でも「適正な転嫁がなされていれば、いわゆる『益税』は発生しない。仕入れ価格の上昇分を価格に転嫁できなければ、いわゆる『損税』が発生することとなる」とハッキリ言っています。
実態はどうでしょう。
消費税増税が行われた年、平成9年(1997年)12月の中小企業庁の調査によると、「課税売り上げ3000万円以下の企業については、『転嫁できていない』と認識している企業が約3割存在するなど、小規模な企業については相対的に転嫁の程度が低いという結果となった」と報告しています。
データを見ると、「転嫁せず」が27・7%、「ある程度転嫁」(すべて転嫁できていない)が20・1%。――あわせて47・8%、つまり半分近くが、完全に転嫁できていないことを示しています。
それ以後、どんな実態になっているでしょうか。
最近、経済産業省から発表された資料によると、昨年の調査では、転嫁できない業者が増えているのです。52%の業者が転嫁できないと言っています。
平沼経済産業大臣にきいたたところ、「転嫁できていない業者は増えている」と答弁しました。
消費税は、転嫁できなくとも業者は納税の義務を負うわけです。ですから、転嫁できなければ自分で負担せざるをえません。
身銭を切って納税しなければならないのであれば、まさに「企業税」です。 売上高1000万円の業者とはどんな規模の中小企業でしょうか。
1000万円から、仕入れや経費を引いて仮に3割残ったとしても、年所得はわずか300万円にすぎないのです。
これで家族労働主体の中小業者がやっていけるでしょうか、ぎりぎりのところです。
こんな零細な業者にまで、納税義務を課して負担させる。――これが、小泉さんの提案している免税点引き下げの実態なのです。
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