奮戦記
【02.10.30】竹中プランが金融危機を引き起こしている
今日は、財務金融委員会で質問しました。その内容は、以下の通りです。
■なぜ、不良債権処理を「加速」しなければならないのか
私は、まずこうききました。
――昨年、政府は大手行の11.7兆円の不良債権を2年間で処理すると言いました。私は、24日の予算委員会で金融庁に確かめたところ、1年間で6.2兆円処理したということです。
政府は不良債権を減らす計画を立て、計画通り処理しています。遅れているわけでも、何でもない。それなのに竹中大臣は、不良債権処理を「加速」しなければならないといいます。
いったい、なぜ加速しなければならないのでしょうか。
これにたいして、竹中大臣は「不良債権を計画通り処理した。それでも市場の評価が厳しい」「デフレ状況にある」と言いました。
私は、デフレ状態は誰がつくったのでしょうか。政府のデフレ促進政策ではないのかといいました。
そして、不良債権を処理すればするほど残高が増え、処理の対象が増える。そのうえで不良債権の処理を加速すれば、日本経済は大変なことになる、と主張しました。
■現行法では税金投入は「危機のおそれ」がなければできない
竹中大臣は、「公的資金注入」の可能性にしばしば言及しています。現行の法律では、どのようなときに公的資金の注入ができるのでしょうか。
いまの預金保険法では、「金融危機対応会議の議を経て、内閣総理大臣の認定を受けた金融機関のみが定められた期間内に申し込むことができる」。そして、資本増強を実際に行うかどうかの決定は、「内閣総理大臣が決定する」ことになっています。
そのような公的資金の注入ができるのは、どのようなときでしょう。
――「わが国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持にきわめて重大な支障が生ずるおそれがある」と認められる場合だけです。
つまり、現行法では、システミックリスクを引き起こす危険性があると認定された特定の金融機関が、対象になるということです。
だから小泉総理は、「金融危機対応会議を開く時期ではない」「現時点でただちに金融機関に公的資金を注入する段階にはない」という主旨の答弁をしているのです。
竹中大臣も同じ認識か、ときいたところそれを認めました。
要するに、現在は公的資金を投入する時期ではない、ということはシステミックリスクの危険性があるとは言えない、ということです。
■竹中大臣の方針とは、どのようなものか
ところで、今日発表されるという方針は「不良債権処理を加速する」ためのものだとされています。細かなことは別として、その中心的な柱は「資産査定を強化して引当金を引き上げる」ことです。
このような不良債権処理を一気に強行すると、大量の倒産と失業が出ます。これ自体、とんでもないデフレ加速策です。
同時に、それを実施すると大手銀行が自己資本比率8%を下回ることになります。この自己資本不足を穴埋めするため、公的資金による資本注入をおこなって銀行の体力を回復させる。これがプランの骨格なのか。
私が、このように質問したところ、竹中大臣はこれを否定しませんでした。
■自分で「危機」をつくろうとしているではないか
しかし、はじめに確認したように、現行法では「自己資本比率が8%を切った」というだけでは、資本注入はできないのです。
竹中大臣が、公的資金を投入できると考えているのは、自己資本が8%を切った結果、何らかのシステミックリスクが引き起こされると想定しているからでしょう。
現在は、システミックリスクという状況ではないのです。
しかし竹中プランを実行すれば、金融機関の体力が弱まり、システミックリスクの恐れが強まるということになります。つまり、竹中さんのやり方が、金融危機をつくり出しているといわなければなりません。
竹中さんは、さかんに「金融システムの安定化」とか「銀行を強くするため」というのですが、実際にやっていることは、銀行にダメージを与え、貸し渋りと貸しはがしを促進し、あげくのはてに金融システムを不安定にすることばかりではありませんか。
しかもそのうえで、体力の落ちた銀行に税金を投入するという、とんでもないものです。そんな危険な方針は撤回すべきです。
■税金投入をふくらませてきた政府の誤った政策
だいたい政府は、公的資金に関して、これまで何度も約束を反故にしてきました。
1996年に、公的資金投入の枠をつくるとき、政府は「信組以外に入れない」と言っていました。
しかし98年には、特例業務勘定を預金保険機構につくり一般金融機関も対象にした破綻処理の仕組みをつくりました。10兆円の政府保証に加えて7兆円の交付国債を使って公的資金の投入策が行われました。これに、金融機能安定化緊急措置法による資本増強、資本注入も合わせると、30兆円の銀行支援の枠組みがこの段階でつくられました。
このとき政府は「これで十分だ」と言っていたのです。
ところが、98年10月、あの金融国会のときに60兆円の銀行支援策がつくられたのです。いまは70兆円の枠組みになっています。
このようにして、公的資金投入の仕組みが複雑怪奇に広がり、規模も拡大していきました。その結果、国民負担はふえる一方です。
すでに、国民負担が確定しているのはいくらか、ときいたところ金融監督庁長官は9.1兆円と答えました。
そのうえ竹中プランによれば、不良債権処理の加速で銀行を一気に弱体化させ、金融システム打撃を与えようとしているのです。そのうえ公的資金まで注入しようとしています。――こんなやり方はあらためるべきです。
■党首討論が行われました
今日は、午後3時から小泉総理と野党党首との討論が行われました。
日本共産党の志位委員長は、アメリカのイラクへの軍事攻撃を正当化することはできないとのべました。志位さんは、最低限、国連安保理決議なしに単独で攻撃することには反対すべきだと質問しました。
小泉総理は、明確な答弁を避けました。
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