奮戦記
【02.09.09】政府・与党にまともな「デフレ対策」が出せるのか
株の急落を受けて、与党が少々あわてはじめました。
小泉総理も「デフレ対策」に言及し、きょう昼の政府・与党連絡会議でそれが検討されました。
その後、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は、首相官邸で会合を開きました。
<写真は、政府・与党連絡会議に臨む小泉首相(首相官邸)(時事通信社)Yahoo!写真ニュースより>
小泉首相が20日ごろに打ち出す「構造改革の基本方針」に、このデフレ対策に関する要望を反映させることになったもようです。
しかし、その内容はとんでもないしろものです。
●またしても国民のカネでPKO(株価維持政策)
報道によると、自民党は「年金資金で株価指数連動型上場投資信託(ETF)を2〜3兆円規模で購入する」という「追加デフレ対策」を提案したというのです。
あきれました。またも、国民の大切な資産である「年金資金」を、危険な株式投資に使って株価を引き上げようというのですから。……
ETFというのは、「日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などを構成する全部の銘柄を組み込んだ投資信託」です。
しかし株価全体が下がったら、大きな損失が出ることになります。厚生労働省も「資金は将来の年金給付に備えたもので、趣旨が違う」などと難色を示しているほどですから、年金資金を株につぎ込むことがいかに無謀か、明らかではないでしょうか。
いままでも、年金資金(公的資金)を使って株式投資をおこない、どんなに大きな穴をあけて国民に被害を押しつけてきたでしょう。何兆円という単位ではなかったでしょうか。これにたいし政府与党は、何の反省も謝罪もないままです。
それと同じ誤りを、またまた繰り返そうというのでしょうか。どこまで国民を食い物にするのか、と言いたくなります。
関連「赤旗」HPへ
●これ以上の「金融緩和」ができるのか
このほか、「日銀に新たな政策出動を要請する」とも言われています。いったい、何をもとめるというのでしょうか。
すでに「史上空前の金融緩和」がおこなわれているのです。
日銀自身「すでにジャブジャブ資金を供給している」とのべているほどです。問題は、銀行から先の中小企業に資金が流れていないことです。
その原因を究明もせずに、ただ「金融緩和の追加を」「日銀は新たな政策を」と叫んでも、いったい何になるのでしょうか。
金融面で、いまやるべき対策といえば、まず、直ちに「貸し渋り・貸しはがし」をやめさせることです。末端まで資金が供給されてこそ、真のデフレ対策といえるのです。
●大企業向けの減税、不良債権の高価買取り
このほか、大企業向けの「研究開発・投資促進減税などの前倒し実施」や来年1月施行の新証券税制の再見直し、あるいは、整理回収機構(RCC)が不良債権を実質簿価で買い取る制度の創設などを求めているようです。
RCCが「不良債権を実質簿価で買い取る」ということは、国民の税金で銀行が保有している不良債権を、これまでよりも高い価格で買い取ってやる制度です。
ホントにあきれてしまいますね。
政府は20日をめどに「新たなデフレ対策」を打ち出す方針だというのですが、こんな愚策を繰り返しても、経済も株価も良くなるはずがありません。
●求められる発想の根本転換――従来型政策からの脱却
株価が下がったら株価引上げのPKOをおこなう、銀行の経営が大変だから税金を投入する、設備投資が低迷しているから投資減税をおこなう。……
これまで政府がやってきたことは、こんな対症療法ばかりでした。しかしこれでは、まともな対策になりません。
いま問題なのは、GDP(国内総生産)の6割近くを占めている最終消費市場(個人消費)が低迷していることです。
ものが売れないから設備投資が低迷しているのです。税金が重いから低迷しているのではありません。
銀行の経営がうまくいかないのは、貸出先の企業経営が低迷しているからです。――銀行に公的資金をいくら注いでも、貸出先の経営が良くなるはずがありません。――ものが売れれば、貸出先の経営が良くなっていき銀行の経営も改善するのです。
国民の消費が改善していけば、必ず景気が良くなります。そうなれば株価も上がるのです。
――どうして、このような当たり前の方向に踏み出さないのでしょうか。
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育てたゴーヤのうえに、ゴーヤーマン!!
――ある方から、こんな写真を送っていただきました。
